花咲く言の葉  |  TsukinoAkari

花咲く言の葉

Illustrator TsukinoAkari

右手に持つ苺アイスが少しずつ溶け落ちる。

でも、それを気にする事なく、私は視線の先から目をソラせずにいた。

「綺麗…」
思わず私は呟いた。
視線の先には、

 ドーン!
という大きな音とともに、夜空に咲く花火。
赤や青の花火の欠片が、チリチリと舞い落ちる。

【夜空に咲く】

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photo|ASHINARI

花咲く言の葉

photo|TsukinoAkari

花咲く言の葉

text|TsukinoAkari

ボーッと、上ばかり見上げていたら、
 ドン、
と、次々と人にぶつかった。
「あっ…」

右手に持つ溶けかかった苺アイスを気にして、庇うように身を屈めようとすると、

グイッ、
急に左腕を掴まれ、私の体が一瞬浮いた。

           









         「ボーッとしてんな。はぐれるぞ」
           聞き慣れた低い声が、
           私の耳元で不器用に囁いた。
           

花咲く言の葉

そう、コウちゃんの背中から低い声が、した。
いつもの、聞き慣れた声のはずなのに、なのに、なんだか、違う声に聴こえた。

考えるより先に、顔が熱を帯びてきた。

「もう、離さないからな」

【夜空に咲く】

「コウちゃん」
私が名を呼ぶと、コウちゃんはフイっと私から視線をそらした。
そして、掴んでいた私の左腕を離すと、今度は、私の左の手首をしっかりと掴んだ。

「お前は子供みたいに危なっかしいからな」
ム、子供ってー、と私が言い返そうとする前に、

花咲く言の葉

夜空に咲く

【完】

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なっ、なな、舐めた? 
今、舐めた?
コウちゃんが、
私の手首を!?

コウちゃんは、
私の右手を
持ち上げたまま、

「ごちそうさん」

そう言って、
ニヤっと
イジワルそうに笑った。         

熱くて、コウちゃんの声が離れなくて、顔が上げられない。

なんだろう?
どうしちゃったの?私…

「おい、溶けてるぞ」
近くで聴こえた声に、やっと顔を上げた、瞬間、
 ペロ、
溶けて手首まで流れていた苺アイスを、コウちゃんが舐めた。
「ひゃっ…」
フイうちに、私はおかしな声を上げてしまった。

花咲く言の葉
花咲く言の葉
作成日:2011 年 07 月 30 日

  • 著者:TsukinoAkari
発行:TsukinoAkari

©TsukinoAkari 2011 Printed in Japan

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