friday.11  |  nicola

 

11日、金曜日。

1

じゅうたんのうえで ひろげるためいきの 世界

一日中ガラスの瓶をひかりにかざしていた
溶けはじめた林檎を拾っていた
女の子のように歩けた

今からでも踊ることができるのかしら と言っていた
だって、踊ったことはないんですもの と言っていた
 
ガラスノ瓶ノ中ニハ何ガ入ッテイルノ? と聞いてくれた

空デス
カラ
ト読ンデクダサイ

いつも抱かれていた
両腕をつかまれていた
そして小さく声をあげた

透明のガラス瓶

2

eyes



真昼の公園の下へ
あしを
その口の奥の奥へ
左手と左の胸を
野犬の棲む山の中へ
そのほかののこりのものを
埋めてくださいじつは
わたしの
左手と左の胸は
すでに
ゆれる海の底へと沈められていたのでした
が昨夜がんばって
浮きあがって
きたのですからどうぞ
土をしっかりとかけてください
そうすればもう
ゆれないでいられます

揺れる。

3

気持ちが揺れ動いてしまうわけなのです。
私は、あなたで。

だけど揺れるなら、

五月の風邪に揺れる葉っぱみたいにさらさらと
風に体を預けているのか、それともかわしているのかわからない、
木々の枝みたいにしなやかに、揺れたい。

折れてしまわない
飛んでゆきはしない

もしも誰かに手折られるのならそれで
いつまでもここに根付くのならそれで
だけど葉っぱみたいに飛んで行けたら、それで

でも今はただここで
しなやかに揺れては体を預けたりかわしたりさらさらと、揺れる。

透明のガラス瓶


日々を流し込む
透明のガラス瓶のなかに
いやなきもちも やさしいきもちも なにもかも

わたしは、ガラス瓶なの
わたしの透明の体にいろんな色の砂をいれていって

そのうち、
わたしはグラスサンドアートみたいな絵になる

作成日:2011 年 06 月 17 日

  • 著者:nico arakawa
  • 著者:yoko lin
発行:nico arakawa

©nicola 2011 Printed in Japan

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