こぞのさくら  |  ...Saki...

こぞのさくら

   こぞのさくら       
            咲

1

左に捻ると水が流れます。
美味しいごはんと美味しいお酒と美味しいセックスが好き。
恋を食べて生きています。

bitch

朝、歯を磨いてる男にうしろから抱きついて
「おはよ」と声をかけたその口で

夜、別の男の固く光るものを愛しくほおばり

昼、また別の男にくまなく舐められたその指で
他の男に「抱いてほしいの」とメールを送り

舌の根が乾かぬうちに よその舌を欲しがり

もう当分えっちはいらないと笑った次の夜には
悦びの蜜を滴らせながら足を広げ

リョウシンノカシャクもなくいけしゃあしゃあと
「幸せ」 とほざく


全部どれもが嘘じゃない
打算はあるけど嘘はない


何を求めて 何が足りなくて 今日もまた
一番感じる乳首をすすられ のけぞり 果てる

2

ことのはじまり

3

部屋に入ると、後ろから抱きしめられた。

20センチほどの身長差のある彼に抱かれると、 彼のあごの下にすっぽり収まる。 うしろから抱かれるのって大好き。 彼が彼の意志で私を求めてくれていることへの純粋な喜び。

でも、私の髪に鼻をうずめる彼の気配と 肩ごしにまかれた腕の力強さに、 我慢ができなくてすぐにうしろを振り返り、唇を求める。 彼が首を少しだけ前に、私は少しだけ背伸びして。 周囲の空気の密度が一気に濃くなる瞬間。

唇の間から優しく差しだされた舌を上唇と下唇でそっと挟んで吸い込む。 私の口の中でしばらく遊んでいた彼の舌が、ルージュの剥げかかった私の唇のすき間からでて、首筋へ降りていく。
肩を抱いていた手のひらが私の胸元へ移動する。 ホルターネックのタンクトップを着ているから、 下着はストラップレス。ずり落ちてしまわないように、パットがしっかりしているタイプのランジェリー。

「ウソの胸だけど」
「じゃあ、ホントのやつちょうだいよ」

彼がそういいながら、タンクトップの首にかかった紐をそっとほどいて、パットの上部に手をかけて、半分だけ下にずらす。小さな胸の中心に、不釣り合いに自己主張する大きく固くなった艶のある乳首がぽろりと飛びだす。 今の私の心の中を全部表現している突起。                       →

4

ココニキテ。

彼が首を更に深く折り曲げて、その先に舌を巻きつかせ、口腔にふくむ。

んふぅ。。

腰の力が抜けて崩れ落ちそうになる私の体を、彼の腕が支える。
私も彼の首に腕を巻きつかせて、体勢を保とうとするけれど、
腕を上にあげたら、更に胸の露出が激しくなって、彼は口に乳首をふくんだまま、その胸のささやかな隆起を手のひらで優しく揉みしだく。

もれる吐息とともに私の腰骨は存在しなくなる。
軟体動物になってベッドに体を沈める直前の恍惚の時間、
今まさに。

ディープ・スロート
notウォーターゲートbutトレイシーローズ

5

私にまたがって、スーツのズボンをおろす彼を待てなかった。
上半身を起こして、彼がチャックを下げると同時に、すでに先端が下着からはみだすほど大きくなった彼のペニスを取りだし、自分のカラダを引き抜きよつんばいになって、のどの奥まで一気にふくんだ。

私ののどの奥の半球のサイズよりひとまわり大きい彼の先の半球を、口腔全体でしごく。

苦しくて愛おしい。

彼が左手で私の髪を乱暴にくしゃっと掴んだのは、きっと快楽のせいだ。そう思ったら、彼の半球からどんどんあふれでてくる液体と同じ、無色透明な液体が私の下半身にも溢れる。

空いた右手で背中ごしに私の液体の流れる部分へ手を伸ばした彼が、言葉で私を犯す。次々と投げ掛けられる、久しぶりに聞く彼の声から発せられる卑猥な言葉の数々に、のどが奥までふさがって返事ができない私は、必死で首を縦に横にふって、YES,NOを表現する。 その度に、私の中でひとまわり大きくなるのがわかるから、私は奴隷のフリをしながら、更に大きく首をふってご主人様に意思表示をする。

YES,YES,NO,NO,YES!!

この時間になると混雑している下り方面の私鉄。 目の前の窓ガラスにはふたりが並んで吊り革にぶらさがっている。 ガラスの中で目が合うと、「ん?」とガラスを通して目で話しかけられる。「なんでもない」とやっぱりガラスを通して目で答える。 彼の手が私の腰にまわされて、私は甘えるように少し体重を寄せてしなだれる。

乗降客の多い途中駅で、彼の前の座席が空く。
座るように促されて、せっかく密着した体を離すのが嫌で躊躇したけれど、何度も言うから仕方なく座る。
彼の大きなビジネスバッグを預かって、膝の上に立て、取っ手の上に手を乗せる。彼が私のその手にゆっくり寄りかかってきた瞬間。

あ……

思わず上目遣いに彼を見上げると、何食わぬ顔で私を見下ろしている。 手の甲でその固さを感じながら、指先を少しだけ動かす。 わざとか偶然か混雑した車内で、電車の揺れに合わせて密着度が高まる。ちょうど私の顔の目の前数十センチのところで次第に固さを増してくるから、気がつくといつものようにうっすらと唇を開いてしまっている。

だめだめ、ここは電車の中。

                           
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6

電車の中で

7

ほどなく私の隣りの席が思いがけず空席になる。 彼が私の膝から自分の鞄を取って、隣りに座る。 ちらっと私の顔をのぞきこむメガネの奥のイジワルな瞳が憎らしい。 今度は自分の膝の上に鞄を乗せて、私の手を握る。

何も言われなくても、握られた私の手はみずから彼の鞄の下の腿を這って、中心部へ向かう。 一段と大きさと固さの増したそこを、さっきより死角が増えた分、さっきよりずっと大胆に、4本の指先でカリリと、親指の付け根でゆっくり押し付けるように撫でさする。

リノリウムの床は固いけれど、私は畳の弾力が好き。
なんだか突然そんなことを思ったりしながら、スーツのズボンの下で今にも弾けでそうになっている彼の体の一部を、大切な宝物に触れるように、優しく手のひら全体で包み込む。 思わずもれそうになるせつない吐息をあくびのフリして空中に吐きだしながら。



先に電車を降りた私が、「次は倍返しで」とメールを送ると、すっかり冷え込んできた秋の夜空が運んできたのは、
「3倍」と暗い夜道に光る文字ふたつ。

カノジョの誕生日

8

ああ、仕事思ったよりかかっちゃった。ごめんごめんお待たせ。
「おなかすいたーのどかわいたー」
相変わらずコドモみたいなやつ。飯どうする?
「ちょっと行ってみたい店あるの」
そう言ってカノジョはボクの返事も聞かずに前をスタスタと歩きだした。 良かった。何にも決めてなかったんだよな。カノジョのこういうとこ助かる。 駅前に開店したばかりの手羽先料理の専門店。 運良く席も空いてて、奥のテーブル席へ通される。
「生でいいよね?」
これまたボクの返事を待たずに、店員を呼び止めて、すいませーん生ふたつー、だって。まぁ、いつものこと。 早速運ばれてきたキンキンに冷えたジョッキをそれぞれの手に 「かんぱ~い」
と言ったカノジョがちょっと間を開けて、ボクの目を見てにやりと笑う。
「あ…お誕生日おめでとう…」
ボクが消え入りそうな小さな声でそう言うと、カノジョはにっこり笑って「ありがとう」と答える。 苦手なんだよな、こういうの言うの。だって恥ずかしくないかい?人前でさ。いい年の大人がさ。お誕生日おめでとう、だなんて。 だけど、満足気に口のまわりに泡いっぱいつけてジョッキに口をつけてる嬉しそうなカノジョの顔見てたら、ま、いっかって気になってきた。

次々運ばれてくる手羽先のなんちゃらとか手羽先のかんちゃらをむしゃむしゃ食べながら、カノジョが「ねぇ」と声をかけてくる。 「おいしいね」と続くのだろう、と思っていたボクの耳に飛び込んできたのは                   →