Shigotobiyori  |  yoshikatsu

 首の長いキリンは高いところにある餌を好んで食べます。餌を棒で吊っていつでも高いところに餌があるようにしたり、首の後ろなどかゆいところを自分で掻けるように孫の手みたいな役割をする「孫の蹄」という金属の棒を設置したりしています。

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 テナガザルの遊具にも工夫があります。彼らは知性があるので、餌を入れるタッパーをロシアのマトリョーシカのようにしました。大きなタッパーを開ければ中に小さなタッパーが入っていて、それを開ければまた小さなタッパーがある。どんどん開けていくとピーナッツが入っているんです。これらのアイデアについてはいい取り組みだということで、NPO 団体からエンリッチメント(動物福祉の立場から、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための具体的な方策)大賞という賞を受賞しました。
 それ以外にも、問題にぶつかるたびにいろいろな取り組みを考えて実践していきたいと考
えています。

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広くないという強み

 この動物園はあまり広くないけれど、それを逆手にとって小回りの利く動物園でありたい。狭くて密集しているというマイナス面は、動物との距離が近いというプラスに変えることができると思うのです。
 あまりに広い動物園では動物が遠く奥の方に隠れていてせっかく見に行ったのによく見えなかったということもありえますが、うちならそんなことは起きない。それにあまり広いと園児やお年寄りの方などは疲れてしまいます。
 うちの園なら、すごく大きなところを半分回るくらいの時間と労力で全部回れたりする。そういったことを強みとしてアピールしていきたいと思います。

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 今後はさらにそれを進めるために園のバリアフ
リー化を進めたいです。改修の機会などを利用して少しずつ改善していっているのですが、まだまだ段差などが多いので整備していく方針です。
 それからここは立地条件もいいのです。市街地にあるし交通の便もいい。京都や滋賀はもちん、大阪でも枚方や高槻にお住まいの方なら、天王寺動物園や王子動物園へ行くよりもこちらへ来る方が近いのです。実際にその辺りの幼稚園や小学校から遠足に来られることがよくあります。
 京都に限らず幅広いところから来ていただきやすい場所にあるということも強みです。

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全国の動物園で刺激し合いたい

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 最近は旭山動物園がクローズアップされたことで、動物園全体が注目されています。動物園が全部同じではなく、それぞれの動物園でやっている取り組みなどを知ってもらい比べてもらえたらいいですね。
 ここはこんなことをやっているのか、面白そうだなと思ってもらい足を運んでもらう。
 一つの園だけでなく全国にある動物園全体で刺激し合えたらいいですね。

それから大事なことは、ちょっとずつでも始めた取り組みを進めていくことです。遊びに
来てもらうたびに変化していれば見に来るのが楽しみになりますよね? 次々と新しい取り
組みを考え出し、それらを継続していくことで、来るたびに変化している動物園をつくりこ
とができる。そしてそれは動物達の居心地の良い場所を作ることにもなっているのです。だ
から来てくれた人に喜んでもらう、動物にとって居心地の良い場所にする、そのための創意
工夫はいつも欠かせません。

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プロフィール
和田 晴太郎
わだ せいたろう
1967年岐阜県生まれ。1992年3月 北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業。
青年海外協力隊に参加し、南米、パラグアイに赴任(1992—1995年)などを経て、1996年5月 京都市動物園飼育課へ。
京都市動物園 飼育課 安全管理係長(獣医師,学芸員)

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作成日:2011 年 05 月 09 日

  • 著者:yoshikatsu
発行:yoshikatsu

©yoshikatsu 2011 Printed in Japan

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