Shigotobiyori  |  yoshikatsu

 野生の中で起こること、例えば、カラスや蛇に襲われそうになっていたから保護してきた、とかはやめていただきたいですね。人が手を出すべき領域ではない生存競争でのことですから。一方、積極的に手を出してでも助けるべき時もあります。誰かにいたずらで羽を切られたり、虐待行為にあった動物などです。そういう人的要因によって理不尽に傷ついた動物を助けるために施設があること自体に意義はあるのですが、過剰に保護
することはしないように。そのあたりの線引きは難しいところではあります。

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 猛禽が鳩を襲うのは、ある意味当然の行動ですよね。「猛禽に襲われそうだった」と言ってここに連れてこられても、預かることはできないし、猛禽も生きていく術がなくなってしまう。目の前で襲われていればかわいそうと思うのは当然ですけど、そこで終わらずに「なぜなんだろう」「どうしてこんなことになっているのだろう」というところまで踏み込んで考えて行動してほしい。
 施設があることによって、そういった話をする機会ができる。そういう活動をするのも役割なのかなと思っています。

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この動物園は、明治36年に全国で2番目の動物園として開園されました。
 動物園は動物をみてもらうための施設ですが、時には、「檻が狭くて動物がかわいそうだ」という意見を耳にすることがあります。動物にとっての居心地というのが考慮されていないのではないのかという疑問の声ですね。
 実はこの動物園の配置は開園当初とほぼ変わっていないのです。日本の動物園というのは「見世物小屋」から発展した経緯があるので、娯楽と切り離すことができない。

 日本で2番目の動物園

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 実はこの動物園の配置は開園当初とほぼ変わっていないのです。日本の動物園というのは「見世物小屋」から発展した経緯があるので、娯楽と切り離すことができない。
 この動物園でも一時期、「常同行動」というのが指摘されたことがあります。ゴリラが暇だからと、一度食べたものを吐き戻してもう一度食べるという行動が指摘されたこともあります。
 そこで対策として、いろんな木を植えてみたり、環境を多様にする工夫をしてみたところ若干改善されたのです。

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 異常行動が確認されたら、何が原因で、それに対してどう対処していくのかという改善のサイクルができたんです。それまではわりと無頓着だったんです。改善方法とかはあまり考えていなかった。今は、原因、対応策、改善というのを考えるようになっています。
 楽しみをいかにして作っていくかという工夫が重要です。遊び道具を入れてみたり。うちの園だけではなく、他の園の例を見て取り入れてみたり、そういうことは進んでいます。うまくいって実を結んでほしいものです。見に来てくれた人達も楽しんでくれるような。見ていてかわいそうと思われるようなことにはしたくない。

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ソフト面での工夫

 旭山動物園の行動展示と、天王寺動物園のランドスケープイマージョンと言って野生環境をそのまま持ってきたような展示方法。それが今主流の2つです。ただ、それはどちらをやるにしてもハード、つまり施設面の充実が必要です。うちの現状ではそれが難しい。ハードには手がかけられないのでソフト面での充実を考えて実行しているところです。檻の前のお客さんから見える位置に、キーパーさんの手書き文字でこういった取り組みをしていますと貼り出してあるでしょう? あれもソフト面で充実させて行こうという取組みの一つです。

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 ライオンやトラなどがいる猛獣舎で、動物たちの運動不足が指摘されたことがあったのですが、担当者が考えたのは海に浮かんでいるブイを利用した遊びです。あれは結構頑丈にできているので、目の前でぶらぶらさせてコミュニケーションを取る方法。猫って目の前になにかありますとじゃれますよね。あれと同じです。ライオンじゃらし、トラじゃらしと呼んでいます。

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