Shigotobiyori  |  yoshikatsu

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 作家を目指して陶器の作品を作るのと並行してジャム作りを始めました。陶器の作品はお店の2階にもすこし飾ってあります。食器も作っていましたが、小皿しか作れなくて、オブジェのようなものが多いです。作品としての陶芸の方に興味がありました。ここにある食器は兄の嫁であるノロマサコが作ったものです。彼女も陶芸を学んでいて、大学時代は4人とも、今とは全然関係のない事をしていました。陶芸やテキスタイル等を学んでいたんです。

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お店を始めたきっかけ

 大学を卒業後、私はおばんざい屋さんで働きながら陶芸作品を作っていました。その頃から、陶芸と並行してジャムも作っていました。いつジャムを始めたのかは、はっきりとは覚えていなくて、たぶん趣味の料理作りから派生したのだと思います。
 あるとき、知恩院の手作り市にジャムを出品しました。あそこは出品しやすいですし、お客さんからもストレートな反応が返ってきて楽しいです。最初はりんごとシナモンのジャムと、キウイのジャムを出しました。今もお店の2階にある碁盤の上に、手作りのジャム2本だけ置いてちょこんと座っていました。2本とも売れました。350円とかそれくらいの値段だったと思います。

 それからも知恩院の手作り市にたびたび出店しました。じつはこのお店の4人、みんな手づくり市に出店していたんです。お店の陶器担当のノロマサコと兄は夫婦で一緒に知恩院の手作り市に出店していて、パン担当の真知子と私が一緒に出店していました。だからお互いなんとなく知っているという感じでした。お店を始めたのは、私の兄がアクセサリーのお店を始めたいと物件を探し始めたのがきっかけでした。

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 その時はみんな大学を出て2年くらい経ち、みんな社会人でした。みんな働きながらも、「ほんとはやりたいこと」っていうのが漠然と胸にあったんじゃないかな。メンバーそれぞれ胸に、パン屋さんだったり、何かお店がやりたいなという思いはあったのですが、それをどうすればいいか、形に出来ずに日々は流れていたのですが、兄が物件を探し出したのがきっかけでどんどん具体的になっていきました。兄がお店をやると言いだしたとき、じゃあ「私はジャムを出そう」と反射的に参加を決めました。すごく気軽に、出来ることがあればやってみようという思いでした。

 左京区北白川を選んだのは、たまたまこの物件があったからです。割とおしゃれかなと思って。3件目に見に来たのがここでした。兄が最初に見に来て、「すごくボロボロで全然ダメ」だったと聞かされていたのですが、連れて来てもらうと私は窓枠や建物の感じが結構気に入りました。他のメンバーも気に行ったようで、それから割とすぐここに決まりました。

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2周年を経て

 2007年10月14日にお店が出来て、2年半が経った今、ようやくまわりが見えてきました。ここをこうしたらもっとよくなるんじゃないかなとか、今あるお店を見渡せるようになってきました。
 今までは、おいしいものを作るのに必死だったので周りは見えませんでした。最近は、作ったものをどうすればよくなるのか。このジャムはどんなパンに合うだろうとか、料理に使ってみようとか、お菓子に混ぜてみるとか、もらった人の気持ちとか、食べ方の提案もできればいいなとか、お店で扱っているもの全体を通して「家」や「安心感」といったコンセプトをどう伝えるのかというところまで考えるようになってきました。少しですけど。

お店全体を見渡せるように

 だからお店に置くものにしても、まとまりをもって考えるようになってきました。最初の気持ちに戻るみたいに。2年やってきたことで、ちょっとずつずれてきていたものもあって、それを、もともとの「家」というコンセプトに戻す修正ができるようになってきました。2周年を迎えて、その時は、記念になるようなことは何にもしませんでした。「そう言えば」っていう感じでしたが、そういう風に変わって来たのを感じます。

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そのきっかけは、つい最近、私の担当するジャムでクレーム品が出てしまったんですけれど、それを機会にジャム作りを見直そうと思いました。材料や作り方の工程を考えることで、お店全体のことも考えるようになりました。それまでは4人がそれぞれ個人の世界を作品で現わしていて、それを持ち寄っているという感じだったんですけれど、最近は、みんながお店全体のことを考えるようになりました。お店のあり方みたいな。いい方に変わったと思います。2周年を機にますます魅力的なお店にしていきたいと思います。

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 お客さんが応援してくれるのを感じる時が嬉しいです。ジャムで不良品を出してしまいクレームが出たことがあったのですが、その時、私は少しまいってしまって、ジャムを作るのをお休みしていた期間があったんです。その時にいつも買ってくださるお客さんが心配してメールをくださったのが励みになりました。その他にも「買ったジャムをこうやって食べたらおいしかったです」とか、作っている者としては、やりがいを感じるとても嬉しい瞬間です。

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ジャムのお店としても知ってもらいたい

 今後の目標は、とりあえず厨房を広くしたいですね。今はすごく狭くて。ジャム専用の設備をもっと揃えてジャム作りに専念したいです。あとは、このお店のことをパン屋さんだと思ってくださる方が多いのですが、雑貨やジャムのお店としても知ってもらいたいです。
 私自身、このお店を始めてからいろいろ気づくことがありました。こんなに多くの人と関わることもこれまでなかったですし、いろんなことをしている人がいるなと実感することが本当に多いです。今更ながらそういうことに気づけたのは、こういうお店をやっていたからだと思います。お店をしていて良かったなと思う瞬間です。お店をして、ジャムを作って、人とのつながりの輪をもっと広げていきたいです。