Travelogue with love  |  Alfajiri

Ukon KURISAWA

Travelogue with love

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Ukon KURISAWA

Travelogue with love

キミはいつも唐突に、
突拍子もないことを言い出す。

でも、そうやって、僕を夢の世界に
連れ出すんだ。

もちろん、キミが意識して
そうしてくれている、
なんて、うぬぼれはないけど。

何はともあれ、そうこうしてる間に
僕らは、いつも鎌倉でしてるみたいに
ロンドンの街角のカフェで
チーズケーキをシェアしてた。

驚きだなぁ。やっぱり…

去年、キミがヨーロッパに行こうって
言い出した時は、
本当におどろいた。

だって、もう生涯のうちにヨーロッパに
行くことなんてないだろうって
思っていたし、

まして、キミと一緒に、
いつもの買い付けに…なんて。

 

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でも、そうこうしてる間に、やっぱり
鎌倉で、誰かにもらったKKドーナツ食べてる時と
変わらぬ風情で、田辺夫妻とドーナツ食べてた。
何だか、不思議な気分。

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キミが、アメリカに行って、西海岸縦断して買い付けする。
20feetコンテナ送るって言い出した時は、
もっとビックリした。だって、アメリカなんて
興味ないって、ずうっと言ってたのに…。

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決して高級レストランには行かない。
カジュアルなところばかり。

時には露店や外のフードコートでも。

おしゃれな料理よりジャンクなフード。

でもね、キミと一緒なら、
いつもシェアして、いろいろ食べて、
同じ味の思い出、共有できるから
それで充分。

どうせ、キミはすぐに忘れちゃうし…。

その時、「おいしいね」って
笑顔が交わせれば、それだけで幸せ。

ロンドンでは、最初勝手が分からず、
つい頼み過ぎちゃって、
ふたりして、お腹いっぱい食べた。

だって、あれもこれも、って
目が行っちゃうからね。

キミも、いつも「おいしい」って
言って、結構食べてくれた。

でも、終いには「フォーが食べたい」
って言って、僕を困らせたっけ…

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でも、とにかく、それもこれも
すべて、キミが居ればこそ。

パリに僕がいるなんて…
キミと一緒にいるなんて…

こうやって本場のフレンチ、
それがたとえ場末のビストロだとしても、
それを自分の舌で味わえる時が来るなんて…

僕の30年来の憧れを、
キミは、いつものひょんな思いつきから
いとも簡単に形にしちゃうんだよ。

しかも、それはあまりに次から次で、
感謝する間もないくらい。

ウソ。いつも、言葉では言い尽くせない
くらい感謝しているのです。

パリでは、さくらんぼの木の下で、
ふたりでディナーしたね。

覚えてる? でっかいおじちゃんの
やってるお店。あそこ、良さそうだったね、
って、わざわざ段ボール置いてから
戻ってまで行ったレストラン。

全然期待してなかったのに、
パリの食の懐の深さを知ることになった。

ほんとに、僕は驚いた。
それから、ちょっとうちひしがれた。
だって、裏街にこんな料理が普通に
存在するなんて…。

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さくらんぼの樹の下のディナーは、僕の宝物。
きっとこの世の終わりに、また思い出す。
言い尽くせないほどたくさんの
感謝の言葉とともに。

 
 

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いつも無邪気なキミがいる。
無鉄砲で、ちょっと強引で、
なだめたり、すかしたり、
言い聞かせたり、
説得したり。
でも、利かないね。

そんなキミが好き。
かわいくもある。
たのもしくもある。
守りたくなる。

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どこの街でも、住むように暮らし、
地元の生活に溶け込みながら、アクションを起こす。
そんな旅のかたちが、僕の理想とするところ。
これは、もはや旅ではなくて、単なる移動。

そんな望みも、自然に無理なくかなえてくれる。
買い物するのは、いつもキミだけど、
一緒に移動して、その街の空気を、風を
感じて、人に出会えるだけで僕は満足。

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細雪の降る早朝。
知らない街を歩いた。
こんなの、いくら何でも
早く来過ぎだよって
文句言ってはみたものの、
何だか楽しかったなぁ…

ふたりなら、
大概のことが、楽しくなっちゃう。

キミさえ
ヘソ曲げなければ、ね。

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photo|Alfajiri

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キミの気分の赴くまま、
僕はどこへでもついていく。
キミが望んでくれるなら…

ずうっとキミの側で、
無邪気な表情を眺めていたいから。
それだけで、幸せになる。

たとえキミが何かに夢中になって
僕のことなんて、眼中になくなっても
そんなこと、慣れっこだから大丈夫

そっと側にいて、
何も考えず、やりたいことに没頭できる
そんな環境を保てるように
きっとサポートしてあげる

 
 

photo|Alfajiri

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キミが旅先で何を言い出しても、
僕は平気。もう今は、ね。

最初から、キミには
強いホシを感じてる。

だから、二人は大丈夫って思う。

信頼してるんだ。

ちっちゃいけど、マイティーなキミを。

でも、たまには
僕の忠告に耳を貸した方がいい。
だてに歳とってないんだから、サ。