小卒人生 第二章 地元に戻るの篇  |  candyblood

小卒人生
第二章

地元に戻るの篇

 

僕は地元中学に再び戻る事になったのだったが、その時誓約書を読まされサインした。どんな内容かというと『学校を無断で休んだり、警察に補導されたら再び教護院に戻らなければならない。』というような事が10項目程あり、それを読んでサインするのだ。それを破ると再び教護院に逆戻りになる、という訳である。でも、僕は真面目になるどころか、さらにパワーアップして以前よりもエスカレートしていった。だって、誓約書のルールを破れば、また教護院の生活に戻り仲間にも会えるのだ。誓約書は、二度とあんな場所に入るのはゴメンだ!という人にしか効果がまったくないのだった。僕は、学校に行ったのは最初の一ヶ月ほど。それは教護院生活の話を友達たちにするという目的のためだけだった。悪友たちは教護院内に興味津々だった。中には教護院内の事を知りたくて、教護院に入って居る時に、僕に手紙を書いてくれた奴も居た。教護院を出るその日に僕はそれを知り、その手紙を院長先生から見せられたのだが思わず苦笑いして目を覆いたくなってしまった。なぜなら、それはすべての文面が赤のボールペンで書かれていて、「久しぶり!元気!?この前、○○を殴ってやったらさぁ、、、」というような幼稚な内容がズラズラと書いてあったからだ。『そりゃ、俺の手元には届かない訳だ。』教護院では、内容をすべてチェックして、心をかき乱す内容が書かれている手紙は『寮生に相応しくない』と、教護院側で保管されるのであった。まさに絵に描いたような“模範的に相応しくない内容”の手紙を書いた友達に、『あいつらしいな。空気が読めないって子供っぽいなぁ』と感じたのだった。返事を書く以前の問題だった。でも、僕に手渡されているとばかり思っている友達の気持ちは嬉しかった。地元中学校には昼の給食の時間に、私服を着てタクシーで学校に行ったり、禁止されていた自転車通学をしたりとやりたい放題だった。しかも自分のクラスには行かず、悪友のクラスで給食を食べながら教護院生活を話終えたら帰るのだった。それでも、先生達や他の真面目な子たちとも、話すので煙たがられてはいなかった。他の生徒たちの邪魔になるような授業を妨害したりはしなかった。悪友が、そういう事をすると逆に怒っていた。『おい!他の子たちの邪魔するな!』と。僕には自分の中にルールがあった。『悪友以外の生徒や先生に迷惑をかけない。』というものだ。この頃、“俺は他の奴らとは違う”と常に思っていたので、差を見せつけて目立つ為にこういう事していたのだが、本当は誰よりも弱くて、誰よりも臆病だった。だから、こういう事をして、その臆病さや弱さを覆い隠していたのだった。でも、自分だけは騙しきれなかった。自分の弱さを認めない限り、偽りの自分を繰り返してしまう。

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僕は地元中学に再び戻る事になったのだったが、その時誓約書を読まされサインした。どんな内容かというと『学校を無断で休んだり、警察に補導されたら再び教護院に戻らなければならない。』というような事が10項目程あり、それを読んでサインするのだ。それを破ると再び教護院に逆戻りになる、という訳である。でも、僕は真面目になるどころか、さらにパワーアップして以前よりもエスカレートしていった。だって、誓約書のルールを破れば、また教護院の生活に戻り仲間にも会えるのだ。誓約書は、二度とあんな場所に入るのはゴメンだ!という人にしか効果がまったくないのだった。僕は、学校に行ったのは最初の一ヶ月ほど。それは教護院生活の話を友達たちにするという目的のためだけだった。悪友たちは教護院内に興味津々だった。中には教護院内の事を知りたくて、教護院に入って居る時に、僕に手紙を書いてくれた奴も居た。教護院を出るその日に僕はそれを知り、その手紙を院長先生から見せられたのだが思わず苦笑いして目を覆いたくなってしまった。なぜなら、それはすべての文面が赤のボールペンで書かれていて、「久しぶり!元気!?この前、○○を殴ってやったらさぁ、、、」というような幼稚な内容がズラズラと書いてあったからだ。『そりゃ、俺の手元には届かない訳だ。』教護院では、内容をすべてチェックして、心をかき乱す内容が書かれている手紙は『寮生に相応しくない』と、教護院側で保管されるのであった。まさに絵に描いたような“模範的に相応しくない内容”の手紙を書いた友達に、『あいつらしいな。空気が読めないって子供っぽいなぁ』と感じたのだった。返事を書く以前の問題だった。でも、僕に手渡されているとばかり思っている友達の気持ちは嬉しかった。地元中学校には昼の給食の時間に、私服を着てタクシーで学校に行ったり、禁止され

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てくれた奴も居た。教護院を出るその日に僕はそれを知り、その手紙を院長先生から見せられたのだが思わず苦笑いして目を覆いたくなってしまった。なぜなら、それはすべての文面が赤のボールペンで書かれていて、「久しぶり!元気!?この前、○○を殴ってやったらさぁ、、、」というような幼稚な内容がズラズラと書いてあったからだ。『そりゃ、俺の手元には届かない訳だ。』教護院では、内容をすべてチェックして、心をかき乱す内容が書かれている手紙は『寮生に相応しくない』と、教護院側で保管されるのであった。まさに絵に描いたような“模範的に相応しくない内容”の手紙を書いた友達に、『あいつらしいな。空気が読めないって子供っぽいなぁ』と感じたのだった。返事を書く以前の問題だった。でも、僕に手渡されているとばかり思っている友達の気持ちは嬉しかった。地元中学校には昼の給食の時間に、私服を着てタクシーで学校に行ったり、禁止されていた自転車通学をしたりとやりたい放題だった。しかも自分のクラスには行かず、悪友のクラスで給食を食べながら教護院生活を話終えたら帰るのだった。それでも、先生達や他の真面目な子たちとも、話すので煙たがられてはいなかった。他の生徒たちの邪魔になるような授業を妨害したりはしなかった。悪友が、そういう事をすると逆に怒っていた。『おい!他の子たちの邪魔するな!』と。僕には自分の中にルールがあった。『悪友以外の生徒や先生に迷惑をかけない。』というものだ。この頃、“俺は他の奴らとは違う”と常に思っていたので、差を見せつけて目立つ為にこういう事していたのだが、本当は誰よりも弱くて、誰よりも臆病だった。だから、こういう事をして、その臆病さや弱さを覆い隠していたのだった。でも、自分だけは騙しきれなかった。自分の弱さを認めない限り、偽りの自分を繰り返してしまう。

服を着てタクシーで学校に行ったり、禁止されていた自転車通学をしたりとやりたい放題だった。しかも自分のクラスには行かず、悪友のクラスで給食を食べながら教護院生活を話終えたら帰るのだった。それでも、先生達や他の真面目な子たちとも、話すので煙たがられてはいなかった。他の生徒たちの邪魔になるような授業を妨害したりはしなかった。悪友が、そういう事をすると逆に怒っていた。『おい!他の子たちの邪魔するな!』と。僕には自分の中にルールがあった。『悪友以外の生徒や先生に迷惑をかけない。』というものだ。この頃、“俺は他の奴らとは違う”と常に思っていたので、差を見せつけて目立つ為にこういう事していたのだが、本当は誰よりも弱くて、誰よりも臆病だった。だから、こういう事をして、その臆病さや弱さを覆い隠していたのだった。でも、自分だけは騙しきれなかった。自分の弱さを認めない限り、偽りの自分を繰り返してしまう。

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限り、偽りの自分を繰り返してしまう。

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そんな中、ある人物だけが密かに僕を煙たく思っていたのだった。それがやがて、その立場を利用して僕に襲いかかって来たのだった。それは校長先生だったのだ。春が過ぎ、夏にさしかかった日差しのきつくなったある日の午後、僕が悪友たち10人程で喋っている時だった。凄い形相でこちらに歩いて来る人が居た。「お前が、学校に来ると他の生徒に悪影響だ!もう学校に来るな!」校長だった。後ろには知らない大人たちが3人居た。PTAの人間だという事が後になって分かった。僕の隣にいた悪友たちがすぐさま食ってかかった。「なに!?おい校長!!お前がやめろ!黙って帰れ!」僕は、すぐに悪友を遮った。なぜなら、校長先生が正しいからだ。当時の中学校は荒れに荒れていた時代だ。この学校だけではなく、校内暴力は当たり前の時代だった。僕は他の生徒に迷惑をかけているつもりもなかったし、実際誰とでも喋って僕を見て怖がる生徒は誰もいなかった。でも、校長先生の立場というものがある。僕が好き勝手にやって、PTAや教育委員会で、必ず僕の話題になる事は担任や生活指導の先生から聞かされていた。僕の事を知らない人達からしたら、僕のしている行動を理解してもらえる訳はない。校長先生には、この学校を守る義務もあるし校長としての面子もある。今になって思うのは、荒れ狂っていた中学校の中で、目立ち過ぎる僕を触らぬ神に祟りなしと見て見ぬ振りをしなかっただけでも立派な人だという事。そして僕はこの日で中学を辞めたのだった。僕は嬉しかった、『やった!これで教護院に戻れるぞ。』

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中学を退学した日

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て僕を見て怖がる生徒は誰もいなかった。でも、校長先生の立場というものがある。僕が好き勝手にやって、PTAや教育委員会で、必ず僕の話題になる事は担任や生活指導の先生から聞かされていた。僕の事を知らない人達からしたら、僕のしている行動を理解してもらえる訳はない。校長先生には、この学校を守る義務もあるし校長としての面子もある。今になって思うのは、荒れ狂っていた中学校の中で、目立ち過ぎる僕を触らぬ神に祟りなしと見て見ぬ振りをしなかっただけでも立派な人だという事。そして僕はこの日で中学を辞めたのだった。僕は嬉しかった、『やった!これで教護院に戻れるぞ。』

僕が中学校を中退したという噂は、あっという間に広がった。狭い地元、当たり前だ。でも、僕は恥ずかしくもない理由が二つあった。一つ目はあの厳しいけど自分を高められる教護院に戻れるという事と、もう一つが普通の人生じゃないというところだった。みんなと同じ事が本当にイヤだった。悪友達がタバコやシンナーを吸っても僕は吸わない。カッコイイとも思わなかった。みんなと同じ制服にも個性が感じられず私服で行ったりする、普通ではない人にこだわった。でも、僕の目論見は甘かった。まず、教護院には戻れなかった。児童相談所の担当の先生に『誓約書のルールを違反したから戻りたい。』と、直訴したが『望んで入る人など居ない』と聞き入れてはもらえなかった。この時僕の最終学歴が“中学中退”となってしまった。そんな時、地元の中華料理屋さんの大将が「足立、お前学校クビになったんなら、ここで働くか?」と、声をかけてくれたのだ。「最初は皿洗いからだし給料も安いぞ!」僕はその大将が大好きだったので、すぐに「本当?やるやる!」と返事をして僕は中学三年生で誰よりも早く大人の社会で就職したのだった。僕の仕事は皿洗いと餃子の仕込みと油まみれの店の掃除だった。威勢のいい大人たちの中での仕事は、毎日大変だったが活気があって楽しかった。大将は、僕をとても可愛がってくれた。時には父のような存在でもあり、時には兄のように感じる事もあり、また時には友達という感じでも接してくれた。僕も隠し事無く何でも話した。そんな僕を気に入ってくれたのか、大将はまだ中学生の僕を毎日、仕事が終わるとスナックに連れて行ってくれては、大人の世界を肌で感じさせてくれた。そこは僕にとってとても楽しく、大人の世界を知る唯一の場所になった。みんな大将の知り合いばかりで主に20代から30代前半の大人が集まっていた。女の人は20代前半の看護婦さんたちがお客さんでよく来ていて、みんな綺麗だった。僕は大人の女の人に緊張気味だったが、「この子?15才の子って!可愛い!」と、いつも可愛がってくれた。男の人たちは、みんな元暴走族あがりの人たちだったが、日曜日や昼休憩の時には一緒にご飯を食べに連れて行ってくれたり、バーに連れて行ってくれたり、ドライブやツーリングにまで僕を連れて行ってくれた。大人たちが、僕を一人の男として接してくれたように感じて、『もう、俺は大人なんだ。』と勘違いし始めていた。

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拾ってくれた友達の父親

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か?」と、声をかけてくれたのだ。「最初は皿洗いからだし給料も安いぞ!」僕はその大将が大好きだったので、すぐに「本当?やるやる!」と返事をして僕は中学三年生で誰よりも早く大人の社会で就職したのだった。僕の仕事は皿洗いと餃子の仕込みと油まみれの店の掃除だった。威勢のいい大人たちの中での仕事は、毎日大変だったが活気があって楽しかった。大将は、僕をとても可愛がってくれた。時には父のような存在でもあり、時には兄のように感じる事もあり、また時には友達という感じでも接してくれた。僕も隠し事無く何でも話した。そんな僕を気に入ってくれたのか、大将はまだ中学生の僕を毎日、仕事が終わるとスナックに連れて行ってくれては、大人の世界を肌で感じさせてくれた。そこは僕にとってとても楽しく、大人の世界を知る唯一の場所になった。みんな大将の知り合いばかりで主に20代から30代前半の大人が集まっていた。女の人は20代前半の看護婦さんたちがお客さんでよく来ていて、みんな綺麗だった。僕は大人の女の人に緊張気味だったが、「この子?15才の子って!可愛い!」と、いつも可愛がってくれた。男の人たちは、みんな元暴走族あがりの人たちだったが、日曜日や昼休憩の時には一緒にご飯を食べに連れて行ってくれたり、バーに連れて行ってくれたり、ドライブやツーリングにまで僕を連れて行ってくれた。大人たちが、僕を一人の男として接してくれたように感じて、『もう、俺は大人なんだ。』と勘違いし始めていた。

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拾ってくれた友達の父親

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第二章

地元に戻るの篇

前半の大人が集まっていた。女の人は20代前半の看護婦さんたちがお客さんでよく来ていて、みんな綺麗だった。僕は大人の女の人に緊張気味だったが、「この子?15才の子って!可愛い!」と、いつも可愛がってくれた。男の人たちは、みんな元暴走族あがりの人たちだったが、日曜日や昼休憩の時には一緒にご飯を食べに連れて行ってくれたり、バーに連れて行ってくれたり、ドライブやツーリングにまで僕を連れて行ってくれた。大人たちが、僕を一人の男として接してくれたように感じて、『もう、俺は大人なんだ。』と勘違いし始めていた。

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全然反省してないな。それ全部言い訳だぞ!!」とさらに怒らせてしまった。それでも、遅れた理由があるから『俺は悪くない』と、ずっと自分の責任ではないと訴え続けた。「謝る事もできんのか?それに遅れるなら電話しろ。」と言われた。『そりゃそうか。』と僕は自分の無責任さに初めて意識を向けたが、時既に遅しだった。最後の最後まで態度を変えなかった僕に、さじを投げたのだ。その日から、あれだけ可愛がってくれていたのに、相手にされず、どこにも連れて行ってもらえなくなってしまった。言い訳をする、という事は「自分は間違っていない、自分の責任ではない」と言っているのと同じだ。言い訳に気づき、すべて自分の責任だという考え方にすれば、それだけ人としての成長があるはずだ。『言い訳は、成長を妨げる』という事をこの時、大切な関係との破綻という形で学んだ。兄のような大切な存在を失ってしまった。なんて俺は馬鹿だったんだ、と悔やんでも悔やみきれなかった。

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言い訳は成長を妨げる

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ある日、僕をどこにでも連れて行ってくれて、弟のように可愛がってくれていた10歳ほど年上の人と、その人の会社で待ち合わせの約束をした。僕は約束の時間に1時間くらい遅れてしまった。可愛がられていたので、『何をしても怒られる事はない』と思い込んでいたのか、僕は悪い事をしたという認識がまったく無かった。すると、僕の態度にその人がキレた。「おい!足立、いい加減にしろ!時間を守れない奴は、大事な約束でも簡単に破る奴だ!」と、凄い勢いで叱られた。約束の時間に僕が行かなかったから、他の人との約束までもが果たせなくなり、その人の顔に泥を塗るはめになってしまったようだった。それでも僕は反省するという事よりも、『何で遅れたのか』という事を必死で説明して、なんとか許してもらおうとしたが何を言っても結局最後まで許してはもらえなかった。挙げ句の果てに飽きれられて「お前、全然反省してないな。それ全部言い訳だぞ!!」とさらに怒らせてしまった。それでも、遅れた理由があるから『俺は悪くない』と、ずっと自分の責任ではないと訴え続けた。「謝る事もできんのか?それに遅れるなら電話しろ。」と言われた。『そりゃそうか。』と僕は自分の無責任さに初めて意識を向けたが、時既に遅しだった。最後の最後まで態度を変えなかった僕に、さじを投げたのだ。その日から、あれだけ可愛がってくれていたのに、相手にされず、どこにも連れて行ってもらえなくなってしまった。言い訳をする、という事は「自分は間違っていない、自分の責任ではない」と言っているのと同じだ。言い訳に気づき、すべて自分の責任だという考え方にすれば、それだけ人としての成長があるはずだ。『言い訳は、成長を妨げる』という事をこの時、大切な関係との破綻という形で学んだ。兄のような大切な存在を失ってしまった。なんて俺は馬鹿だったんだ、と悔やんでも悔やみきれなかった。

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を失ってしまった。なんて俺は馬鹿だったんだ、と悔やんでも悔やみきれなかった。

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言い訳は成長を妨げる

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