小卒人生 第一章 教護院生活の篇  |  candyblood

 

小卒人生
第一章

教護院生活の篇

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教護院生活の篇

将来の夢が分からない

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中学1年生の3学期頃から、僕は学校に行かない登校拒否の問題児だった。同級生たちが子供っぽく見え、勉強をする意味がまったく理解できなかった。悪さをしては何度も警察のお世話になり、家庭裁判所からも呼び出された。中学2年の時には中学校ではなく児童相談所に毎週木曜日だけ通った。そこで「将来の夢は?」と聞かれた事があったが、思いつかず返事に困った。答えが出せない事が恥ずかしくて、その当時ハマっていたラジコンの事を思い出し、こう答えた。「ラジコンを作る人」この時、“将来、俺はどうなるんだろう?”と、将来の事を初めて考えて不安になった。ラジコンを作りたい訳でもないのに、そう答えてしまった自分。『ツッパっていても、結局まだまだ子供なんだ。』という事に気づいてしまった。『将来の夢って、みんないつ考えているんだろう?』自分だけが独り孤立して、取り残された気分で孤独を感じた。将来の夢について、誰も教えてくれない。地元中学の生活指導の先生や担任が、何度も家に来ては「今のままでは、登校日数が足りないから中学3年にはなれない」と、僕を中学校に来るように説得しようとしたが、僕の心は閉ざされたまま決してその扉を開こうとはしなかった。でも、『このままではダメだ』という事は僕自身、実は理解していた。しかし、反抗期が絶頂だったため、反抗心がその邪魔をした。『大人の言いなりには絶対にならない』と反抗心むき出しだった。そして、最終手段で大人たちは僕に脅しを仕掛けてきた。全寮制の更生施設である教護院に僕を入れるしかもう道は残されていない、という話を最後の切り札に宣戦布告して来た。そうすれば、僕が言う事を聞くと思っての事だった。しかし、『大人の言いなりには絶対にならない』と決めていた僕には、この作戦は逆効果だった。僕は教護院行きの話を受け入れたのだった。親達の意図する逆の方へと進む事こそが、自立心と勘違いし『これで自立した大人になれる』という気がした。親達は今度は慌てて僕を引き止めにかかったが、一度口に出したら聞かない頑固な僕は聞く耳を持たなかった。「お前たちがここに入れると言い出したんだろ!」と、1歩も引かなかった。大人たちの安易な誘導作戦は未遂に終わり、誰もが望まない方向へと僕の人生はそこで大きく方位を変えて進む事になった。だが、教護院に入る日が近づくと、僕は不安になり、やっぱり入るのを止めようかと考え出した。聞くところによると、犯罪を犯した不良中学生たちがその更生施設に一杯居て、とてもスパルタな教育のプログラムの元で毎日、規則正しく生活しているという事だった。地元では悪ぶってツッパっていても、本物の悪がたくさん居る教護院。『大丈夫?俺、、、。』でも、今更後には退けない、入ってみてイヤだったらすぐに出ればいいか。とりあえず格好がつかないから1度行くしか無いか。

孤独を感じた。将来の夢について、誰も教えてくれない。地元中学の生活指導の先生や担任が、何度も家に来ては「今のままでは、登校日数が足りないから中学3年にはなれない」と、僕を中学校に来るように説得しようとしたが、僕の心は閉ざされたまま決してその扉を開こうとはしなかった。でも、『このままではダメだ』という事は僕自身、実は理解していた。しかし、反抗期が絶頂だったため、反抗心がその邪魔をした。『大人の言いなりには絶対にならない』と反抗心むき出しだった。そして、最終手段で大人たちは僕に脅しを仕掛けてきた。全寮制の更生施設である教護院に僕を入れるしかもう道は残されていない、という話を最後の切り札に宣戦布告して来た。そうすれば、僕が言う事を聞くと思っての事だった。しかし、『大人の言いなりには絶対にならない』と決めていた僕には、この作戦は逆効果だった。僕は教護院行きの話を受け入れたのだった。親達の意図する逆の方へと進む事こそが、自立心と勘違いし『これで自立した大人になれる』という気がした。親達は今度は慌てて僕を引き止めにかかったが、一度口に出したら聞かない頑固な僕は聞く耳を持たなかった。「お前たちがここに入れると言い出したんだろ!」と、1歩も引かなかった。大人たちの安易な誘導作戦は未遂に終わり、誰もが望まない方向へと僕の人生はそこで大きく方位を変えて進む事になった。だが、教護院に入る日が近づくと、僕は不安になり、やっぱり入るのを止めようかと考え出した。聞くところによると、犯罪を犯した不良中学生たちがその更生施設に一杯居て、とてもスパルタな教育のプログラムの元で毎日、規則正しく生活しているという事だった。地元では悪ぶってツッパっていても、本物の悪がたくさん居る教護院。『大丈夫?俺、、、。』でも、今更後には退けない、入ってみてイヤだったらすぐに出ればいいか。とりあえず格好がつかないから1度行くしか無いか。

更後には退けない、入ってみてイヤだったらすぐに出ればいいか。とりあえず格好がつかないから1度行くしか無いか。

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院行きの話を受け入れたのだった。親達の意図する逆の方へと進む事こそが、自立心と勘違いし『これで自立した大人になれる』という気がした。親達は今度は慌てて僕を引き止めにかかったが、一度口に出したら聞かない頑固な僕は聞く耳を持たなかった。「お前たちがここに入れると言い出したんだろ!」と、1歩も引かなかった。大人たちの安易な誘導作戦は未遂に終わり、誰もが望まない方向へと僕の人生はそこで大きく方位を変えて進む事になった。だが、教護院に入る日が近づくと、僕は不安になり、やっぱり入るのを止めようかと考え出した。聞くところによると、犯罪を犯した不良中学生たちがその更生施設に一杯居て、とてもスパルタな教育のプログラムの元で毎日、規則正しく生活しているという事だった。地元では悪ぶってツッパっていても、本物の悪がたくさん居る教護院。『大丈夫?俺、、、。』でも、今更後には退けない、入ってみてイヤだったらすぐに出ればいいか。とりあえず格好がつかないから1度行くしか無いか。

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将来の夢が分からない

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当日の朝、母親と中学の担任と一緒に児童相談所の先生の運転する車に乗って教護院に向かった。車内は大人たちだけが教護院の話をしていた。僕は当時、児童相談所の先生以外、親と先生とは口を利かない姿勢を貫いていたので、話しかけられても無視した。途中、ふと『今度、この道を通る時はいつになるだろう?』と考えていた。教護院は、大きな敷地内に運動場も学校もある開放的で綺麗な所だった。『なに、なに〜、普通の中学校と同じ感じじゃないの〜、心配しちゃった。教護院って刑務所みたいな所だと思ってたよ〜良かった〜』と、内心ホッとした僕の心はその後、一変する事になる。教護院の院長先生の一通りの説明が終わると、いよいよ僕の寝泊まりする寮に案内された。僕が入る寮は第5寮という、敷地内の学校から歩いて2分ほどの場所にある周りが山に囲まれた寮だった。全部で8つの寮からなる施設で、各寮には8人から10人の中学生が親元を離れ生活していて、それぞれ寮長先生家族が一緒に住んでいた。5寮の寮長先生はI先生とその奥さんと2才の可愛い息子さんの3人家族だった。僕たちが学校から5寮に着いたちょうどその時だった。後ろからゾロゾロと10人くらいの人たちがゆっくりと歩いて来た。その集団は5寮に戻って来る寮生達だったが、その姿を見た瞬間僕の背筋が凍った。僕を連れて来た地元中学の担任と、僕の母の驚いた顔を見ると、どうやら僕と同様、背筋が凍っているようだった。「お前ら!挨拶せんか!」と、いうドスの利いた寮長先生の声で僕たちは我に返った。5寮の寮生たちは僕たちの横を通り過ぎる時に、「こんちわ〜」と、睨みながら無愛想に、新入りの僕にわざわざ挨拶をして下さった、、、。「こ、こんにちは。」蚊の鳴くような声とは、この事だろうというくらい小さな声を怯えて出すと、僕はすぐさま神様に祈りを捧げた、、、『神様!今まですいませんでした!僕、まじめになって、ちゃんと学校に行きますから、ここから帰らせて下さい!ここへ置いてかないで下さい!』と、生まれて初めて神様を信じようと思った瞬間だった。寮生たちの姿を表現すると、『暴力団組員さんかな?』と思えるような、坊主頭に恐ろしい目つき。中学生とはまったく思えない風貌だ。そんな彼らの共通点もすぐに2つも見つける事ができた。“鬼のように角度の付いた1ミリくらいの細い眉毛と、鋭い剃り込みが入っているという所”だ。これが早押しクイズだったら1番に答えれただろう。眉毛も剃り込みも『どうやってそんな風にキレイに剃ってるの?』というくらい綺麗に剃ってある。のちのち分かったのだが、洗濯バサミで 1本ずつ摘んで抜いていたのだった。『絶対にあなたたち“悪い”でしょ?』という本物たちの匂いがした。『、、、しまった、こんな所に何で行くなんて言っちゃったんだ、、、俺のバカ!』心の中で叫んでみてももう遅い。僕は、この時すでにすぐにココから出してもらおうと決めていた。簡単に出れると真剣に思っていたのだったが、そんな生易しいルールはここには存在していなかった、、、。

には8人から10人の中学生が親元を離れ生活していて、それぞれ寮長先生家族が一緒に住んでいた。5寮の寮長先生はI先生とその奥さんと2才の可愛い息子さんの3人家族だった。僕たちが学校から5寮に着いたちょうどその時だった。後ろからゾロゾロと10人くらいの人たちがゆっくりと歩いて来た。その集団は5寮に戻って来る寮生達だったが、その姿を見た瞬間僕の背筋が凍った。僕を連れて来た地元中学の担任と、僕の母の驚いた顔を見ると、どうやら僕と同様、背筋が凍っているようだった。「お前ら!挨拶せんか!」と、いうドスの利いた寮長先生の声で僕たちは我に返った。5寮の寮生たちは僕たちの横を通り過ぎる時に、「こんちわ〜」と、睨みながら無愛想に、新入りの僕にわざわざ挨拶をして下さった、、、。「こ、こんにちは。」蚊の鳴くような声とは、この事だろうというくらい小さな声を怯えて出すと、僕はすぐさま神様に祈りを捧げた、、、『神様!今まですいませんでした!僕、まじめになって、ちゃんと学校に行きますから、ここから帰らせて下さい!ここへ置いてかないで下さい!』と、生まれて初めて神様を信じようと思った瞬間だった。寮生たちの姿を表現すると、『暴力団組員さんかな?』と思えるような、坊主頭に恐ろしい目つき。中学生とはまったく思えない風貌だ。そんな彼らの共通点もすぐに2つも見つける事ができた。“鬼のように角度の付いた1ミリくらいの細い眉毛と、鋭い剃り込みが入っているという所”だ。これが早押しクイズだったら1番に答えれただろう。眉毛も剃り込みも『どうやってそんな風にキレイに剃ってるの?』というくらい綺麗に剃ってある。のちのち分かったのだが、洗濯バサミで 1本ずつ摘んで抜いていたのだった。『絶対にあなたたち“悪い”でしょ?』という本物たちの匂いがした。『、、、しまった、こんな所に何で行くなんて言っちゃったんだ、、、俺のバカ!』心の中で叫んでみてももう遅い。僕は、この時すでにすぐにココから出してもらおうと決めていた。簡単に出れると真剣に思っていたのだったが、そんな生易しいルールはここには存在していなかった、、、。

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更生施設

はすぐさま神様に祈りを捧げた、、、『神様!今まですいませんでした!僕、まじめになって、ちゃんと学校に行きますから、ここから帰らせて下さい!ここへ置いてかないで下さい!』と、生まれて初めて神様を信じようと思った瞬間だった。寮生たちの姿を表現すると、『暴力団組員さんかな?』と思えるような、坊主頭に恐ろしい目つき。中学生とはまったく思えない風貌だ。そんな彼らの共通点もすぐに2つも見つける事ができた。“鬼のように角度の付いた1ミリくらいの細い眉毛と、鋭い剃り込みが入っているという所”だ。これが早押しクイズだったら1番に答えれただろう。眉毛も剃り込みも『どうやってそんな風にキレイに剃ってるの?』というくらい綺麗に剃ってある。のちのち分かったのだが、洗濯バサミで 1本ずつ摘んで抜いていたのだった。『絶対にあなたたち“悪い”でしょ?』という本物たちの匂いがした。『、、、しまった、こんな所に何で行くなんて言っちゃったんだ、、、俺のバカ!』心の中で叫んでみてももう遅い。僕は、この時すでにすぐにココから出してもらおうと決めていた。簡単に出れると真剣に思っていたのだったが、そんな生易しいルールはここには存在していなかった、、、。

更生施設

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教護院生活の篇

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匂いがした。『、、、しまった、こんな所に何で行くなんて言っちゃったんだ、、、俺のバカ!』心の中で叫んでみてももう遅い。僕は、この時すでにすぐにココから出してもらおうと決めていた。簡単に出れると真剣に思っていたのだったが、そんな生易しいルールはここには存在していなかった、、、。

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教護院生活の篇

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なく時間だけが過ぎて行った。『俺って、どうすれば正解なの?俺からの自己紹介をみんな待ってるの?』色々と頭の中を駆け巡ったが、蛇に睨まれたカエルのようなその雰囲気で僕は何もする事はできないまま20分くらいが過ぎた頃だった。「足立君、はい、これ食べる?」と一人の背の低い明らかに僕よりも年下の子がアメをくれた。僕は本当に救われた気がして嬉しかった。「ありがとう」アメ玉を受け取ると、すぐに続けた。「I君がこっち来てって。」と寮の部屋の奥へと目をやった。そこにはこの寮で一番悪そうな怖い顔が、ライオンのような目つきでこちらをジーッと見ていた。『あ、あの人って、人間食べたりする?』それだけを聞いておきたかったが、アメ玉をくれた少年は役割を果たすと、もうスタスタと行ってしまった。僕は勇気を振り絞ってそのライオンの居る暗黒地帯へと歩いて行った。武器を持たず、ライオンの檻の中に入っていくような気分だった。アメちゃんをもらって、救いの救世主から手が差し伸べられた、と思った矢先だったので恐怖感が2、5倍増しになった。暗黒地帯のライオンの巣に行くと、そこに居たI君は俺に座るように無言で椅子を指差した。『何されるんだろう?イヤだなぁ、、、怖いなぁ、、、』心臓の脈打つ音が、周りに聞こえるんじゃないか、ってくらい大きな音が激しく脈打っていた。僕が恐る恐る椅子に座るとI君が言った。「何をやって入って来た?」意表をつく質問に戸惑った。僕はこの何気ない質問にとても悩んだ。それはここに入って来る理由はそれぞれだという事を知っていたが、僕がここに来た一番の理由は登校拒否、格好悪すぎる、、、。何度か悪さをして警察に補導されたが、それが原因でここに入った訳ではない。なめられるかもしれないと思った。でも僕は正直に答える事にした。「登校拒否。」するとI君が『え???』というような顔をして言った。「ウソつけ。その顔は悪の顔だ。何やった?、、、薬か?売人か?傷害か?」まるで僕を何かの犯人扱いのようだったが、僕はその時、I君の口調や顔つきから、『この人と仲良くなれる』と直感していた。初日のうちに、I君とその周りの寮生たちと仲良くなった。窃盗や泥棒、シンナーや覚せい剤などの薬物、そして傷害や恐喝、強盗など様々な理由でココに入れられた寮生たちも、よく見るとまだあどけない少年達だった。僕はすぐにI君にため口で話すような関係になったが、I君は笑って許してくれた。僕の他にI君にため口を話す奴なんて誰も居なかった。それくらいI君はみんなから一目置かれ、恐れられていたからだった。他の子たちも、一見すると怖いが、みんな本当に優しくて楽しい寮生たちだった。『良かった。これでひとつ不安が消えた。』どんな世界も、トップに君臨している人と仲良くなると事はスムーズに運ぶ。人は偽り無く正直な感情の持ち主に惹き付けられるようだ。裏表のある人はその雰囲気がどこかでバレてしまうだろう。

児童相談所の先生と担任と母親が帰ると、それまで味わった事の無い強烈な不安感と緊張感を味わった。寮長先生が寮生に「今日から入る事になった足立だ。みんな頼んだぞ。」とだけ言って、サッサと自分の住む寮長先生宅のドアを開けて入って行ってしまった。僕は耳を疑った。『おいおい、もっとあるでしょ、紹介の仕方って。みんなと仲良くなるように取り持ってくれたりしないの?僕、初めてなのよココ。もっと優しく丁寧にしてくれないの?』と僕は思ったが、どうやらここは今までの僕の知っている生活スタイルとは明らかに違っていた。寮生たちは、相も変わらず鬼のような目つきで、こちらをジロッと、、、あれ?見ては居ない、、、やばいぞこれは、、、睨まれる訳でもなく完全に無視だ。無視が一番どうしていいか分からない。僕はどうしたらいいのか、“ここでの正解は何か”を探っていたが、見つかるはずもなく時間だけが過ぎて行った。『俺って、どうすれば正解なの?俺からの自己紹介をみんな待ってるの?』色々と頭の中を駆け巡ったが、蛇に睨まれたカエルのようなその雰囲気で僕は何もする事はできないまま20分くらいが過ぎた頃だった。「足立君、はい、これ食べる?」と一人の背の低い明らかに僕よりも年下の子がアメをくれた。僕は本当に救われた気がして嬉しかった。「ありがとう」アメ玉を受け取ると、すぐに続けた。「I君がこっち来てって。」と寮の部屋の奥へと目をやった。そこにはこの寮で一番悪そうな怖い顔が、ライオンのような目つきでこちらをジーッと見ていた。『あ、あの人って、人間食べたりする?』それだけを聞いておきたかったが、アメ玉をくれた少年は役割を果たすと、もうスタスタと行ってしまった。僕は勇気を振り絞ってそのライオンの居る暗黒地帯へと歩いて行った。武器を持たず、ライオンの檻の中に入っていくような気分だった。アメちゃんをもらって、救いの救世主から手が差し伸べられた、と思った矢先だったので恐怖感が2、5倍増しになった。暗黒地帯のライオンの巣に行くと、そこに居たI君は俺に座るように無言で椅子を指差した。『何されるんだろう?イヤだなぁ、、、怖いなぁ、、、』心臓の脈打つ音が、周りに聞こえるんじゃないか、ってくらい大きな音が激しく脈打っていた。僕が恐る恐る椅子に座るとI君が言った。「何をやって入って来た?」意表をつく質問に戸惑った。僕はこの何気ない質問にとても悩んだ。それはここに入って来る理由はそれぞれだという事を知っていたが、僕がここに来た一番の理由は登校拒否、格好悪すぎる、、、。何度か悪さをして警察に補導されたが、それが原因でここに入った訳ではない。なめられるかもしれないと思った。でも僕は正直に答える事にした。「登校拒否。」するとI君が『え???』というような顔をして言った。「ウソつけ。その顔は悪の顔だ。何やった?、、、薬か?売人か?傷害か?」まるで僕を何かの犯人扱いのようだったが、僕はその時、I君の口調や顔つきから、『この人と仲良くなれる』と直感していた。初日のうちに、I君とその周りの寮生たちと仲良くなった。窃盗や泥棒、シンナーや覚せい剤などの薬物、そして傷害や恐喝、強盗など様々な理由でココに入れられた寮生たちも、よく見るとまだあどけない少年達だった。僕はすぐにI君にため口で話すような関係になったが、I君は笑って許してくれた。僕の他にI君にため口を話す奴なんて誰も居なかった。それくらいI君はみんなから一目置かれ、恐れられていたからだった。他の子たちも、一見すると怖いが、みんな本当に優しくて楽しい寮生たちだった。『良かった。これでひとつ不安が消えた。』どんな世界も、トップに君臨している人と仲良くなると事はスムーズに運ぶ。人は偽り無く正直な感情の持ち主に惹き付けられるようだ。裏表のある人はその雰囲気がどこかでバレてしまうだろう。

番長

番長

イオンの檻の中に入っていくような気分だった。アメちゃんをもらって、救いの救世主から手が差し伸べられた、と思った矢先だったので恐怖感が2、5倍増しになった。暗黒地帯のライオンの巣に行くと、そこに居たI君は俺に座るように無言で椅子を指差した。『何されるんだろう?イヤだなぁ、、、怖いなぁ、、、』心臓の脈打つ音が、周りに聞こえるんじゃないか、ってくらい大きな音が激しく脈打っていた。僕が恐る恐る椅子に座るとI君が言った。「何をやって入って来た?」意表をつく質問に戸惑った。僕はこの何気ない質問にとても悩んだ。それはここに入って来る理由はそれぞれだという事を知っていたが、僕がここに来た一番の理由は登校拒否、格好悪すぎる、、、。何度か悪さをして警察に補導されたが、それが原因でここに入った訳ではない。なめられるかもしれないと思った。でも僕は正直に答える事にした。「登校拒否。」するとI君が『え???』というような顔をして言った。「ウソつけ。その顔は悪の顔だ。何やった?、、、薬か?売人か?傷害か?」まるで僕を何かの犯人扱いのようだったが、僕はその時、I君の口調や顔つきから、『この人と仲良くなれる』と直感していた。初日のうちに、I君とその周りの寮生たちと仲良くなった。窃盗や泥棒、シンナーや覚せい剤などの薬物、そして傷害や恐喝、強盗など様々な理由でココに入れられた寮生たちも、よく見るとまだあどけない少年達だった。僕はすぐにI君にため口で話すような関係になったが、I君は笑って許してくれた。僕の他にI君にため口を話す奴なんて誰も居なかった。それくらいI君はみんなから一目置かれ、恐れられていたからだった。他の子たちも、一見すると怖いが、みんな本当に優しくて楽しい寮生たちだった。『良かった。これでひとつ不安が消えた。』どんな世界も、トップに君臨している人と仲良くなると事はスムーズに運ぶ。人は偽り無く正直な感情の持ち主に惹き付けられるようだ。裏表のある人はその雰囲気がどこかでバレてしまうだろう。

「登校拒否。」するとI君が『え???』というような顔をして言った。「ウソつけ。その顔は悪の顔だ。何やった?、、、薬か?売人か?傷害か?」まるで僕を何かの犯人扱いのようだったが、僕はその時、I君の口調や顔つきから、『この人と仲良くなれる』と直感していた。初日のうちに、I君とその周りの寮生たちと仲良くなった。窃盗や泥棒、シンナーや覚せい剤などの薬物、そして傷害や恐喝、強盗など様々な理由でココに入れられた寮生たちも、よく見るとまだあどけない少年達だった。僕はすぐにI君にため口で話すような関係になったが、I君は笑って許してくれた。僕の他にI君にため口を話す奴なんて誰も居なかった。それくらいI君はみんなから一目置かれ、恐れられていたからだった。他の子たちも、一見すると怖いが、みんな本当に優しくて楽しい寮生たちだった。『良かった。これでひとつ不安が消えた。』どんな世界も、トップに君臨している人と仲良くなると事はスムーズに運ぶ。人は偽り無く正直な感情の持ち主に惹き付けられるようだ。裏表のある人はその雰囲気がどこかでバレてしまうだろう。

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第一章

教護院生活の篇

も、トップに君臨している人と仲良くなると事はスムーズに運ぶ。人は偽り無く正直な感情の持ち主に惹き付けられるようだ。裏表のある人はその雰囲気がどこかでバレてしまうだろう。

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番長

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生が懐中電灯を照らしながら見回りに来た。この施設では入って来て早々脱走する子が多いこの施設では、新しい寮生が入ると1ヶ月間ほどこの見回りが繰り返されるのだ。実際、僕と同じ日に別の寮に入ったK君という子に、「一緒に逃げよう。俺、お金持って来てるからさぁ!」と、初日に学校内で誘われた。「なに!?逃げる?」と、とても驚いた。僕は、その言葉に揺らぐ事無く断ったが、ここでは寮生が脱走する事は珍しくなかった。僕の居た期間にも何人かが脱走した。このK君もその1ヶ月後に脱走したが、逃げてから1週間足らずで捕まって顔を腫らして舞い戻って来た。逃げても必ず1週間ほどで捕まって戻ってきた。中には脱走して車を盗んで事故を起こし少年院に送られた子も居た。脱走する事をなぜかここでは『トンコ』と言った。「○寮の○○が昨日トンコしたらしいってよ。」という会話は何度も聞いた。でも、逃げ切った者は誰一人としていなかった。それはそうだろう、たかが中学生が逃げても行く所は脱走した者の地元に決まっている。必ず地元で捕まっては舞い戻り、出られる刑期が延びるだけでなく、きついお仕置きが待っていた。作業服に着替え足には靴ではなく逃げられないようにゾウリを履かされ、戻った日から2週間一人だけ別メニュー。みんなが授業を受けている間中、全校生徒から丸見えの運動場の朝礼台の前でひたすらスクワット。しかも、一番怖い先生が竹刀を持って目の前にずっと立っている。絶対にさぼれないのだった。竹刀は見せかけでなく、怠けると本気でそれを振り下ろす。何度も何度もその現場を見て、僕はまったく動じなくなり叩かれる奴が悪いのだと同情すらしないようになっていった。寮長先生の照らす懐中電灯の光に、僕は毎回寝たフリをして、それをやり過ごした。寮長先生は僕が逃げていないか、夜中に2回も起きては見回りに来てくれる。それが何とも心地よく、守られている安心感があった。教護院は僕の知るどんな場所よりも厳しい所だが、どこよりも愛情が感じられる場所でもあった。

教護院生活は、厳しいルールの元、毎日の生活が繰り返された。それまでのダラダラした生活と違い、軍隊のようで慣れるまでは、とても辛く厳しい環境だと感じた。僕はその施設に入ってから、まる4日間一睡もする事ができなかった。中学2年で初めての経験だらけで、緊張していからだった。夜は毎日布団の中で地元の友達たちの事や自分がそれまでして来た事をひたすら内省し、自分の問題点にイヤでも気づかされた。『こんな環境に身を置かなければ、自分自身を見つめる事は無かっただろうな。』と、感じた。それまでは教護院に入る事がマイナスの事だと思っていたが、客観的に自分を見るまたと無いチャンスでもあった。昔ながらの壁掛け時計のハトが1時間ごとに勢いよく飛び出すたび、『みんなはよくこれで寝ていられるな』と変に感心し内省を繰り返した。すると夜中の1時を回る頃と明け方の4時頃の2回、寮長先生が懐中電灯を照らしながら見回りに来た。この施設では入って来て早々脱走する子が多いこの施設では、新しい寮生が入ると1ヶ月間ほどこの見回りが繰り返されるのだ。実際、僕と同じ日に別の寮に入ったK君という子に、「一緒に逃げよう。俺、お金持って来てるからさぁ!」と、初日に学校内で誘われた。「なに!?逃げる?」と、とても驚いた。僕は、その言葉に揺らぐ事無く断ったが、ここでは寮生が脱走する事は珍しくなかった。僕の居た期間にも何人かが脱走した。このK君もその1ヶ月後に脱走したが、逃げてから1週間足らずで捕まって顔を腫らして舞い戻って来た。逃げても必ず1週間ほどで捕まって戻ってきた。中には脱走して車を盗んで事故を起こし少年院に送られた子も居た。脱走する事をなぜかここでは『トンコ』と言った。「○寮の○○が昨日トンコしたらしいってよ。」という会話は何度も聞いた。でも、逃げ切った者は誰一人としていなかった。それはそうだろう、たかが中学生が逃げても行く所は脱走した者の地元に決まっている。必ず地元で捕まっては舞い戻り、出られる刑期が延びるだけでなく、きついお仕置きが待っていた。作業服に着替え足には靴ではなく逃げられないようにゾウリを履かされ、戻った日から2週間一人だけ別メニュー。みんなが授業を受けている間中、全校生徒から丸見えの運動場の朝礼台の前でひたすらスクワット。しかも、一番怖い先生が竹刀を持って目の前にずっと立っている。絶対にさぼれないのだった。竹刀は見せかけでなく、怠けると本気でそれを振り下ろす。何度も何度もその現場を見て、僕はまったく動じなくなり叩かれる奴が悪いのだと同情すらしないようになっていった。寮長先生の照らす懐中電灯の光に、僕は毎回寝たフリをして、それをやり過ごした。寮長先生は僕が逃げていないか、夜中に2回も起きては見回りに来てくれる。それが何とも心地よく、守られている安心感があった。教護院は僕の知るどんな場所よりも厳しい所だが、どこよりも愛情が感じられる場所でもあった。

脱走のお誘い

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