中原中也 寫眞詩集  |  INNERPLANET

中原中也
寫眞詩集

photographic by caramel mou

1

   01 黄昏
   02 秋の一日
   03 梅雨と弟
 

CONTENTS                  

 
 

    黄昏

黄昏

渋った仄(ほの)暗い池の面(おもて)で、
寄り合った蓮の葉が揺れる。

蓮の葉は、図太いので
こそこそとしか音をたてない。

黄昏

音をたてると私の心が揺れる、
目が薄明るい地平線を逐(お)う……。

黄昏

黄昏

黒々と山がのぞきかかるばっかりだ
――失われたものはかえって来ない。

なにが悲しいったってこれほど悲しいことはない
草の根の匂いが静かに鼻にくる、
畑の土が石といっしょに私を見ている。

黄昏

――竟(つい)に私は耕やそうとは思わない!
じいっと茫然(ぼんやり)黄昏の中に立って、
なんだか父親の映像が気になりだすと一歩二歩歩みだすばかりです

黄昏