農ヒューマン農ライフ  |  agristation

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食は家庭の文化

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第26回 南日本新聞掲載コラム 最終回

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日本には、虫の声を愛でる文化がありますが、自然が残る地方でも鳴いている虫の声に気づけない子供が増えています。その原因は、親が子供に虫の声は風流であるという会話や、感情に触れ記憶に刻まれる体験が減ったからです。

食べ物も同じで、家庭の食卓で「食」について食事中に親が話をすることで、家庭の味や食文化は知識と体験で強固な記憶となり子供に継承されます。 今回で、

このコラムも最終回です。物語を書く作業のなかで自分にとって安心安全な味の根底は、「子供の頃に食べた家庭の味」だという新たな発見がありました。

自然や命、生産した人、料理した人に感謝する「いただきます」「ごちそうさま」。そんなすばらしい日本の文化がいつまでも継承されるように、みんなで食の話しをしましよう。

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鹿屋市の小薄(おすき)そばを伝承する小薄敏和さん宅に行きました。小薄そばは、そば粉と同量の自然薯を使用する贅沢な5割そばです。独特の技法で打ち、コシが強く茹でてから時間が経っても切れない細く美しいそばです。

自分がそば打ちを始めた理由は、祖母が高齢になりそばを作れなくなったからでした。その後、そば打ちに没頭して東京のそば屋で文化の違いに圧倒され、すっかりのぼせていました。しかし、どんなに道具、技術を改善しても物足りなさが残りました。

小薄さんが「地区に伝わる小薄そばの技術と伝統の味を守りたい」と言われる姿を見て、自分が求めていたものは、祖母のそばだと気づきました。
小さい時に慣れ親しんだ味こそ、究極の味であり、その伝統を守ることの大切さを小薄さんに教えていただきました。

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伝統の味を守る

第25回 南日本新聞掲載コラム

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青空の下でイモの収穫

徳之島では、春じゃがいもの出荷時期です。ミネラル分を多く含んだ赤土で栽培されるじゃがいもの美味しさは格別です。
しかしこの赤土は、掘取時にイモ表面に大量に付着します。手作業でしか落とせないため、多くの時間を必要とします。
そこで、赤土を落とす機械を農機メーカーと試験場で共同開発しました。3年間、2月から3月まで長野から2人の技術者が徳之島に来て、イモの品種や表面に残る土の条件ごとに部品を試作し、組み合わせを変えて試験を行う毎日でした。「花粉がないから、快適ですよ」と言っていましたが、家族と離れての生活は寂しかったと思います。

「生産現場が開発現場であり、生産者に愛される機械を作りたい」という2人の言葉から、機械開発の基本を学び共に目標に突き進んだ3年間でした。

第24回 南日本新聞掲載コラム

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第23回 南日本新聞掲載コラム

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食べることは、戦いだ

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2011131

鳥獣害の報道を見て「困ったね。駆除しないといけないねー」と思います。
それは、「どこかの誰かが、自分の知らないうちに駆除してほしい」という考えでした。

先日、キンカン畑に手伝いに行きました。ヒヨドリが集団で襲来して食害するためにキンカン畑全体を網で囲います。しかし、隙間から中に入り網に絡まったヒヨドリは、はずして駆除します。
駆除とは、命を奪うと言うことです。始めはおっかなびっくりで少し気分が悪くなりましたが、時間が経つと何も考えずにできる自分がいました。
畑に来ていた一般の人が「かわいそう」と言ったとき「自分の大切な物が襲われたらどうする?」と生産者の人が問いました。

おいしい物は食べたいけど、いやなことは誰かにやって欲しいでは、だめなことがわかりました。

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たんかん収穫

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第22回 南日本新聞掲載コラム

 徳之島の松本果樹園は、「たんかん」を2月から3月にインターネットで販売しています。農産物をネット販売することの優位性がいわれていますが、実際に個人で行っている人はまだ少数です。畑の状況から発送個数と注文受付期間を毎年決める必要があります。
受付数が少なければ余りが出るし、多いと発送できなくなり迷惑をかけます。
注文受付順の発送のため「すぐに送ってほしい」との要望にはまだ応えられませんが、松本さんが栽培した果物を直接購入できることが大きな魅力です。

 松本果樹園にはネット販売の技術的なノウハウと同時に、お客さんとのつながりという力が蓄えられていきます。
「自分で作った果物で、お客さんと直接つながれることが嬉しい」と言う松本さんの言葉を思い出しながら、今年もたんかんを注文しました。

 3ヶ月かけて栽培した輪ギクを市場に出荷しています。
お盆は1本80円、9月のお彼岸は、まあまあの1本45円で売れました。
しかし11月は1本9円でした。あまりに安いので市場に実際に行ってみると、大量の花が出荷されていました。量が多いと安くなるのは市場経済では当然ですが、この現実には参りました。
しかしこれは農業以外の産業でも同じことで、自分も消費者としてその恩恵にあずかっています。 以前、生産者の方に「出荷した花が安かったよ」と言われ、自分は傍観者として安かった理由を説明しました。しかし、安値を経験して当事者となり、「安かった」と言う時は感情的に整理できない心のもやもやを誰かに伝えたい時だと思いました。
安いとわかっていて、市場に花を置いたときに胸の中が痛くなりました。

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収穫作業中

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2010-12-6T00:00:00+09:00

第21回 南日本新聞掲載コラム

2010-11-29T00:00:00+09:00

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石油備蓄基地のある喜入の海沿いの国道から山手に入ること10分。住宅街を抜けて山の中にある狭い農道を走ると水田や小さな段々畑があります。その先に増永さんの山小屋がある果樹園が広がります。

増永さん夫婦は毎日、朝5時に起きてみかん園の山小屋に来ます。ひと働きした後に朝食です。昼はテレビを見ながら、お茶を沸かし弁当を食べ、2時まで昼寝をします。それから夕方6時までみかんを管理して家に帰り、夕飯後は早く寝ます。

よく働くスローライフです。そのため家の電話では連絡がつきませんが、山小屋に行くと増永さんはいつも温かく迎えてくれます。「山小屋にも電話引くか携帯持ってよ」と言うと「家にいると電話がきてうるさいのよ。ここは電話も無いし、人もほとんど来ないからいいんじゃないの」と笑った。

第20回 南日本新聞掲載コラム

スローライフは、楽しい山小屋で

第19回 南日本新聞掲載コラム

 機械メーカーと共同で、3年かけて農業機械を開発しました。市販機一号が売れたので、納品にメーカーの人と行きました。自分たちの開発した機械が売れることがうれしかったし、当初の予定価格より安くできたことで満足していました。
 
メーカーの人に「100台のうち1台の不良品をどう考えますか」と質問されました。「不良品率1%だから、優秀だと思います」と答えると「その1台を購入したお客様にとって不良品率100%です。次に自分のメーカーの物を購入することは無くなるので、0%にする必要があります」と言われました。
 
機械を運び込んで試運転した後に、お客さんから現金で43万円を受け取りました。
 
それを見て「安くはない」と思うと同時に、物を売るという重みを感じて恐ろしくなりました。

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機械開発の神髄は、何なのか

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2010-11-01T00:00:00+09:00