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あ と が き


 この写真集を構成するにあたり、まず紫陽花の写真を10代、20代、30代……60代というように分類してみるところから始めた。若いつぼみの状態から、成熟し、枯れていくというような過程を、流れとして作ってみようと思ったのだ。まあ、そんなに明確に分類しようなどということではなく、なんとなくの雰囲気で作業を行った。
 もともと紫陽花を意識的に撮り始めた頃というのは、すでに盛りを過ぎてドライフラワーのようになったものばかりを撮っていた。それが、紫陽花ばかりを意識的に撮影するようになり、若いつぼみや、盛りの美しい状態も撮影するようになっていった。
 若いつぼみの写真から喚起されるイメージと、枯れた花から喚起されるイメージというのは当然異なるが、撮影している当人の視線は別に変わらない。また紫陽花自身も、ただそこに咲いているだけだ。
 紫陽花というのは、花びらに見える部分が萼(がく)で、中心に小さくポツンとあるのが花だ。だから萼の模様を見て朽ちているように見えても、花としては盛りであったり、花はとうに散ってしまっているのに、咲いているように見えるということもある。
 とくに紫陽花がテーマというようなことではなく、プラスアルファの部分を取り込みたいと思ってシャッターを切っている。「ただ紫陽花を撮ってるわけじゃあねえんだよ」というつもりなのだが、それは写真の中に記録され、はたして観る者へと伝わるのだろうか。



平成二十二年三月


上原ゼンジ

  • 著者:上原ゼンジ
  • URL:http://www.zenji.info/
作 成 日:2010 年 03月 08日
発   行:上原ゼンジ
BSBN 1-01-00032208
ブックフォーマット:#453