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ナチュラリズムの基準

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岡田利規 プレゼンテーション

 
その辺から僕の思考が、現実にいかに肉薄するか、ニアピン賞を取りたいな、みたいな感じが全くなくなっていって。そういうことへの関心を失っていったということですね。ただ、ナチュラリズムの手強いところは、それ以外の手法に比べて、良い悪いの基準がとにかく明確だということなんですよね。とにかく、現実世界にこういう人間がいる、こうやって人間は生きているなということを、よりつぶさに見ていって、それを使うのがナチュラリズムだ、という言い方をしていいんだとしたら、その基準はものすごい明確ですよね。それで、その基準の明確さに拮抗するナチュラリズム以外の手法はあるのかと問うと、これは結構難しいなと思ったんですよ。だから、ナチュラリズムはダメ、やだ、つまらないと言って離れるのは簡単なんだけど、その結果、自分が作る演劇が弱いものになってしまうと元も子もないわけで。
 僕はいまだに基準としては、ナチュラリズムというものが持っている基準はすごく強いし、だから基本的にはナチュラリズムの基準を使おうと、これでも相変わらず思っているんですよ。

岡田利規 プレゼンテーション

 

 
 

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ただ、それは、見栄えのナチュラリズムではない。見栄えのナチュラリズムとは、つまり、まあ世の中にはこういう人がいるよねと、そういう風に見える人を舞台上でもやるよということですね。
 だけど、僕が使いたいのは、見栄えの部分ではなくて、そのメカニズムの部分。ナチュラリズムというのは、人がこういうところに意識を置いてとか、こういう風にからだを使っているとか、その仕組みを用いて舞台上に上げる。
 だから、その仕組みでどの程度からだのいろいろな出力をするのかという、そのボリュームは日常的なものでなくても構わない。そうすればナチュラリズムの仕組みを用いながら、ナチュラリズムじゃないものに向って作っていけるし、しかも基本的にはナチュラリズムの明確な基準を用いているから、強いものが作れ

寺尾紗穂
「愛(かな)し、日々」

 
 
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岡田利規
「コンセプション」

 
 
 

岡田利規(おかだ・としき)

 
<著者略歴>
1973年横浜生まれ。演劇作家・小説家。97年にチェルフィッチュを結成。チェルフィッチュとは英語のセルフィッシュが明確に発語されないまま幼稚語化した造語。2005年のトヨタコレオグラフィーアワードで発表した『クーラー』、同年の第49回岸田國士戯曲賞受賞作『三月の5日間』で、ダンス界、演劇界でともに脚光を浴びる。小説『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で08年大江健三郎賞を受賞し、文学界でも注目を集める。

  • 著者:岡田利規
  • 編集:富田秀人
  • 制作:天然編集部
作 成 日:2010 年 02月 19日
発   行:岡田利規
BSBN 1-01-00031681
ブックフォーマット:#560