rule like irons  |  kyoshi

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あとがき


短編の恋愛映画を撮った。
五本。
誰かと誰かが出会うだけの話。
最初の一本。
撮影で借りたお宅にダルメシアンがいた。
一歳の雌。
人なつっこかった。
せっかくだからと思って出演してもらった。
フレームの中を犬がいったりきたり、寝たり。
犬も人も、のんびりしていた。
終わって。
残りの四本、書いていた台本を捨てた。
ワンアクションだけ決めごとつくって。
煙草の火を借りる、とか。
二人でバイクに乗る、とか。
珈琲二杯頼む、とか。
あとは現場でみんなで見つけた。

 
 
 
 

杉田協士(すぎた きょうし)

1977年、東京生まれ。
これまで主に、自主映画作家(フィクションおよびドキュメンタリー)、劇場映画の助監督、テレビの情報番組ディレクター、映画ワークショップファシリテーターとして活動。
現在、劇場映画監督作を準備中。

父の遺産の振り分けがあって、兄姉が車を相続させてくれた。
くれたのはいいけれど、税金は払うし保険には入るし、ガソリン代も高速代もかかる。
車検の時期が来て、メーカーの工場に出したらタイヤ全部交換とかいろいろ、すごい額を提示される。
交渉とかできず、言われるままに払った。
手放そうかと悩みながら、まだ乗っている。
車内中の灰皿には父が貼った「禁煙」の大きなシール。
見るたびにすこし申し訳ない気持ちになる。
でもぱかぱか吸っている。
剥がせばいいのだけれど。
匂いが残らないように雨でも窓は開けている。
この前、深夜に伊豆在住の相方から「家の鍵なくした」と電話があり、車に乗って東京から渡しに行けた。
着いたとき相方はココスで太宰治の「人間失格」を読んでいた。

 
 
 
 
rule like irons
  • 著者:杉田協士
    作 成 日:2009 年 08月 25日
    発   行:杉田協士
    BSBN 1-01-00026681
    ブックフォーマット:#535