エル・エルに  |  LLLL

エル・エルに

                                                                                                                                                




                                                                                          あれは夏の日の幻か


在りし日の現か                                                                                                                                                                              
                                                 

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わたしらは年久しく
埋もれた財宝を掘りかへしえた、
よろこびに値せしゆゑ。
わたしらはどうしても、
恋歌をおぼえることが出来なかった、
あまりに長く別離(わか)れしゆゑ、




在りし日の昔の譲ゆゑ、
その亡き人を呼びもどしえた、
くるしみに値せしゆゑ、
再(ま)た繰り返し生き存らへた。

道に迷ひいて訪れたる

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こちらに

















その声は震へを帯びて、
まるで紅雀のやうだつた。
終わりの高い調をふるはせて、
鶫ののどのやうだつた。



みどりいろで灰いろで、きみの眼は
四月の白日(まひる)のやうだつた。
けれどかがんで接吻(きつす)するときは
紫いろの水晶とばかりかがやいた。

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開かれた扉





















常春藤(きづた)の繁みのふたりの座で
いつも逢うたとおぼえてゐる。
きみが声は小鳥のやうで、
いろいろな美しい言葉を叙べる。

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誘(いざな)はれ

                                                                                                                                                                        またきみは寛衣(ガウン)のいろは、
琥珀がかつた茶いろであつた。
薔薇色の肩の上には
黄の繻子がふたつ垂れてゐた。





仏蘭西のレエスのハンケチが
(涙でちよつと汚れたのか)
そなたの顔にあててあつたが
(さては小雨が降つたのか?)

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息をのむような
その眼差し












しばらくはきみの口は
たえて微笑みもせなんだが。
それから五分もたてば
いつぱいに笑ひの漣をゆるがせたが。

photo | Ricao

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                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              たとえばきみは花のやうに、
いつも驟雨(むらさめ)をこはがつた。
雨がバラバラとふりそめたときに、
とびたつて走つていつた。

誰れひとりきみに良配ふ人はなくて
私も、たえて、きみを獲ることが出来なんだ
きみの足はかがやいて迅くて
不思議な小さな翼があつた。

またおぼえてゐる。
きみが髪毛を結んだやうに。―
房房といつもみだれてわつた故―
黄金いろの日光のもつれたやうに。
みなすべて昔のことゆゑ。

よくおぼえてゐる。室のうちを、
ほのあたたかい六月の雨の中に、
さはつてゐるリラの花を、
         露もしとどな窓ガラスに。

















                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
                                  
                              

5

                                                                                                                                                                        さらばと振つたきみの手の
上には青い脈があつた。
さよならといふきみの声の
中にはむつとしたふしがあつた。

4

こちらが

あなたの・・・・


                                                                                                               『あなたの生活を
むだに浪費つたにすぎないのだ。』
(ああそれはナイフのような言葉だつたが)
もう、もう、すでに遅かつた、
庭の枝折戸をとび出て見たが。