PHOTOBOOKS  |  STUDIOVOICE

BOOK

 
 

01

 

harukichi

 
 

機械と人間が融合したSF世界を表現するデジタル写真家ジェフリー・スコットの作品集。絵画、彫刻、テレビや映画のプロダクトデザインを手掛けていた彼が自分のクリエイティビティと妥協することなく自己表現できる手段として、写真そしてフォトショップを選んだのが2002年だったという。四肢を切断され頭蓋開頭のうえ首から下腹部まで縫合された人体の横に猿が座っている写真「No More Animal Testing」や両手切断されたビクトリア朝の女性、砂時計のようにお腹を搾ったコルセットの女王、ガスマスクをしたM男性を従えたラテックス・ミストレスといったセピア写真シリーズ「貴族階級2032」が秀逸。内臓や腕の筋肉が機械になっている女版ターミネーターみたいな作品も多い。ー枚作るのに平均50時間はかかるという、現実と仮想の境界を溶かすデジタル・ダ-クな写真をぜひご覧になっていただきたい。

016

2009.6.27Sat13:43

『Visions from within the mechanism』Jeffery Scott(Baby Tatoo Books)2007年発売

harukichi

 
 

元SMスナイパー編集長にしてポスト・アラーキーの呼び声も高い渡邊安治の写真集。無表情あるいは不機嫌な女性が、自宅、ホテル、森の中、河原などで撮影されている。服装は和服、全裸、半裸、シースルー、メイド服などでそこに縛りがあったり無かったり。縛りはソフトな感じなのでスナイパー誌的なものやエロやフェチを期待すると外れる。画面構成もただ撮った静的なものからストーリーが浮かんできそうな動的な(映画の一コマ的?)なものまであり、全体に荒木経惟ほど下世話でなく被写体との距離感や節度のようなもの(或いは上品さ)が感じられる。

015

2009.6.27Sat13:37

渡邊安治『Tokyo Girls』(Edition Reuss)2004年発売

 

久々に書棚から引っ張り出してみる。綺麗な装丁。フジヤマの雲の上は淡いグリーンの空。
この写真家は周りの空気を動かさず自分を移動させる不思議な足をお持ちのようだ。
ダイバーの後ろを歩いても、凧を追いかけても、フジヤマを登っても、この写真家の前にはいつも空気に似た人がいる。

014

2009.6.27Sat13:26

まるで空気を見ているような写真:野口里佳「鳥を見る」

mako

 
 
 

V.A.『The New Erotic Photography』  (Taschen)2007年発売

2009.6.27Sat13:22

013

14ヶ国82人の写真家による新しいエロスをテーマにした608ページの大著。モデルの顔を写さないボディスケープ写真はもう古いと編者が選んだ基準は、モデルの表情が出てるもの、あからさまなセックス描写無し、過度な拘束無し、屹立したチンコ無し、男は小道具程度の役割であること、である。面白かったのは海産物とパツキンモデルの組み合わせがシュールなJean Van Cleemput、ばあさんばっかりのAlla Esipovich、デビッド・リンチの映画っぽいダークな都会の一室的Aaron Hawks、フォトショップで衣装や背景や体をレタッチする童顔ナイスボディ好きなMike James、中世絵画のような色使いが美しいJan Saudekなどなど。日本からは「ここ友達んちなのー」的直球リアリズムな宮下マキ、現代日本のアングラ童話を淡い色調で撮る村田兼一、モデルの冷めた視線と昭和臭が漂う渡邊安治等が収録。

 
 

harukichi

 

harukichi

2009.6.27Sat13:17

012

パクリ疑惑のある小林が日本全国津々浦々の廃墟を撮った写真集。剥れ、砕け、掠れ、割れ、倒れ、まるで昭和の抜け殻のようなホテル、テーマパーク、病院、巨大遊園地、小学校、ストリップ小屋、鉱山施設、健康センターたちが柔らかい光に照らされ佇んでいる。たぶん物を動かしたりもしてるのだろうが、手術室のカーテンレールから垂れ下がり床にだらっとなってるカーテンの上にパイプ椅子と一輪の薔薇がぽつんと置いてある「紘田病院手術室」というのが凄く良かった。あとスプレーで汚された被写体(何枚もある)を見てると、こんな廃墟にまでグラフィティ・アーティスト気取りの奴が来てるんだと思い、笑えると同時に死人に鞭打ってる感じがして哀しくなる。本内最多出場の廃墟遊園地カッパピアに行って見たいなぁ。

 
 
 

小林伸一郎『亡骸劇場』(講談社)2006年発売

harukichi

ヤン・ソーデックやジョエル・ピーター・ウィトキンに影響を受けたというヴィジュアル・アーティスト村田兼一、彼の『Japanese Princess』に続く二冊目の写真集がドイツの出版社EDITION REUSSから発売された。スナイパー誌連載時にはストーリー仕立てになっていた作品も収録されているが、エディション・ロイスはその物語性を剥ぎ取りバラバラに配置し、作品が一枚一枚で完結するように編集している。眼帯を着けたロリ衣裳の女の子が便器に座るその上からは白熊のぬいぐるみが首を吊っているものや、椅子の上で両脚開脚し放尿するガーターの女性、ビニールホースやチューブを陰部に突っ込まれ悶える少女といった黒髪のプリンセスたちが幻想的に浮かび上がる。村田が撮ったモノクロ写真に山崎由美子が手彩色で色を載せていくことで完成する写真はパステルトーンの水墨画と言ってもいいような幽妙とした美しさに満ちている。

011

2009.6.27Sat13:14

村田兼一『Princess Of Desire』
(Edition Reuss)2007年発売

 
 
 

harukichi

 
 

荒木経惟、ヘルムート・ニュートン、デビッド・ラシャペルなども出してる「PHOTOLOGY」ポケットサイズシリーズからジョエル・ピーター・ウィトキン(1939年9月13日アメリカ生まれ)の写真集が出ました。切断された人体、奇形児、フリークス、両性具有者などグロテスクなものを(テーマとしてではなく)素材として使い、自分の内なるヴィジョンをモノクロ写真に創出する男、ウィトキン。54ページと少ないながら古典絵画、バロックアート、シュールレアリズムを取り込んだ1981年から2005年までのベストとも言える内容です。そのダークな聖画写真の根源には子供のときに目撃した自動車事故があると言います。それは三台のカークラッシュで、ひっくり返った車の中から少女の首がウィトキンの目の前に転がってきた事故だったそう。ウィトキンの写真集は絶版が多いので、これが一番入手しやすいでしょう。

010

2009.6.27Sat13:01

Joel-Peter Witkin『Joel-Peter Witkin』
(Photology)2007年発売

 

1968年ミズーリ州生まれの写真家(?)ロバート・パークハリソンのセピア色で統一された作品集。スゴク良いぃ~。写真なんだけどなんか違う(たぶん絵などの混合と思われる)。例えるなら、ある映画の美しいシーンばかりを集めた写真集か、主人公の行動記録集っぽくもある。夜空(たぶん)の下、広大な畑に苗の代わりに植えた電球が発光している「Night Garden」が静美でグー。よれよれのスーツを着た男性(多分著者)がある時は廃材で作ったプロペラ機で空をゆっくり飛びながら荒涼とした大地に種を蒔き、ある時は地面に入った長い亀裂を巨大な針と糸で縫い、またある時は小さな自作機で小さな雲をポンポンと吐き出す。主人公が超高度産業化社会或いは第N次世界大戦により荒廃してしまった地球を元の姿に戻そうと一人孤独に作業しているようにも見える。非常に静謐な印象を受けます。

009

2009.6.27Sat12:42

Robert ParkeHarrison『The Architect's Brother』
(Twin Palms)2000年発売

harukichi