NOMAD  |  iwagaki

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2009年7月29日

内緒で刷る

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「臍の緒ワンダーランド 西野入礼 9/28~10/11 TOKI Art Space」ぜひ行ってみてね。

友人の作家の個展DMが出来上がった。
右のは、実は2案制作したうちのボツ案である。作家はどちらも良いと言っていたが、こちらの案を最終的には選ばなかった。僕は実を言うと、こっちの案の方が気に入っている。
この案は作家さんの個性というよりも、僕の個性がよく出ていると思う。選ばれた案は、作家さんらしさを考えて制作した。そう考えると選ばれなくて当然だ。
ただ、せっかく作ったのだし、作家も気に入っていたので僕は勝手に印刷会社に発注した。自腹で。しかもたった100部のみ。これもどうぞと渡そうと思う。
この仕事では、作家の声をよ〜く咀嚼して作ってみようと決めていたので、僕は我を通さなかった。前職で営業の皆さんと仕事を沢山して思ったことだが、企画を聞いた段階で、明確なビジュアルが見えているのはアートディレクターだけなのである。つまり、唯一明確なゴールが見えている者がそのクリエイティブを何としてでも守らないと結果、良いモノは生まれない。

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2009年7月30日

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お世話になりました。

ついに恐れていたことが現実となる。

僕の切り札もしくは命綱、またの名を最終兵器こと「おこめ券」を全て使い果たす。。。

ぼ、ぼぼ僕はこの先どうやってお米を手に入れたら良いのか、と部屋でショックを受けた28歳は思わず独り寂しく立ち尽くした。時が止まったのかと思った。

どんな食生活になっても僕には「おこめ券」という頼もしいボディーガードがいると思っていたのに。

う、ううううう裏切ったなぁー!!おこめ券っ!!



うっうっうっ。。。(><:)

アイロストザおこめ券

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花のように

2009年7月30日

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午前中神保町の竹尾で注文していた紙を取りに行く。
その後、古本屋に入ると田中一光さんの作品集を見つける。見ていると僕が学生時代に感じたグラフィックデザインの感動を思い出す。近くのJAZZ喫茶でしばらく濃いコーヒーを飲みながらそれを眺めていた。

色の構成が綺麗だとか、図形の美しさだとか、とても基本的な部分に高いクオリティと洗練を感じる。自然を見て感じる美しさに近い気がする。
僕はいつしか広告プロモーションという仕事を経験するうちに、デザインに夢を持った当時の気持ちを忘れていたのではないか。それはただ花のような単純な美しさに感動していたのだと思う。今の広告は、とにかく消費者を驚かせるコミュニケーションばかり話題になっている気がする。こんなとこにこんな広告があったら面白いでしょとか。サムシングニューの捉え方が何かずれている。爆音で流れるJAZZの妙に生々しい演奏を聴きながら、無職の坊主は思った。

カッターで作業していて左手の人差し指の先っぽを切り落としてしまった。医者に行くと、縫合が必要だと言われるが、僕は保険に入っていないため、治療費が高い。しない方向でお願いしても6千円もする。。。
たっけーなっ!!

僕は時々、自分の決断には我ながら驚かされる。こんな事を言うといやらしいが、前に居た会社は日本人ならよく知っている大企業であった。平均年収も高い。
社会人としてはさらに転職する必要がないほど条件もいい。それでも僕は突然アートディレクターになったものだから、デザインをする力が十分に備わっていたわけではない。僕はとにかく一流に、プロフェッショナルになりたかった。だからもっと現場で学ぶ必要があって飛び出したわけであるが、現実にデザイナーとしてお金を得て生活していくことは甘くない。
しかし、選んだ道に後悔はしない、という自分との約束は破れない。

下北沢マサコ

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針千本のます

2009年7月31日

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リクルートエージェンシーから仕事の相談が久しぶりにやってきた。劇団の公演のポスターやチラシを制作しているデザイン会社が人手不足で、とりあえず2ヶ月間の短期で働けるデザイナーが欲しいとのこと。
僕が勝手に作っていた劇団白昼夢の仕事と、何かがつながる。なんの因果なのか分からないが、僕はとりあえずやってみようと思い、面接を受けた。早速、来週月曜から働くことになった。

僕は無職になってからの日々を振り返った。
自分が信じていることは、人には見えない。それ故に他人と理解し合えないことは沢山ある。苦しいのは、自分が自分を信じれなくなった時である。僕にも何度もそれは訪れた。それでも、お世話になった人や支えてくれる人のことを考えては、また自分の判断を信じることが出来た。強く信じる力をつけるために、僕は毎日デザイン作業やアイデア出しをする必要があった。自分が一番の強敵だった気がする。

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2009年8月1日

地球のみなさんさようなら

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デザインの道を選んだ原点を僕はこの生活で知ることが出来た。社会でデザインの仕事をするうちに見失っていったものはあまりにも多かった。僕はそれを取り戻したいと思っていたのだと思う。それが会社を辞めた本当の理由なのかも知れない。
辞めた当初、理想を他の会社や、仕事に僕は求めた。しかし理想の会社など、本当は地球のどこにも存在していなく、僕が胸を張ってしっかりと歩くことでしか僕の理想は現れないのだと知った。

毎日、自分を見つめることは正直苦しかった。
僕は何なのか、誰なのか、何ができるのか、何の役に立てるのか、そんなことばかりが頭をもたげていた。
せっかく支えてくれる人にもアタリそうになった。結局は、これまで歩いてきた積み重ねが僕であることが分かった。これまで、見てきたこと、聞いたこと、触れたこと、感じたこと、考えたこと。それが僕の全てであった。

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デザインというのもタダのコトバに過ぎなかった。
アートディレクターもコトバだし、広告もタダのコトバでしかない。しかし、それに僕は何度も捕らわれてきた。僕がそもそもしたかったことは、「感動を伝える」ということだ。それは、小さな子が今日学校で起きたことを親に話すことと同じだ。
僕は僕が思いついた面白いこと、愉快なことを、色んな人に伝えたいと思った。それには広告のアートディレクターという職種が一番良いように思った。でもそれは違っていた。それは、どんな仕事でも出来る。

僕は自炊をたくさんした。独りでアイデアもたくさん考えた。自分と何度も対峙をした。
そうして見つけたものを僕はもう忘れない。

    長い間、読んでくださった皆さん
    どうもありがとうございました
    また地球のどこかで会いましょう

おわり

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  • 著者:iwagaki
作 成 日:2009 年 05月 20日
発   行:iwagaki
BSBN 1-01-00024295
ブックフォーマット:#306