本のあつまる ところ 05財津正人  |  mediaseven

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本のあつまる
ところ
05財津正人

 

ブッククロッシング・ジャパン代表

本を普及することをミッションとして、取次、書店経営、出版社のすべてにおける知識と経験をもちいて、出版社のための書店営業代行と著者のための出版エージェントとして活動する。そのかたわら、「世界中を図書館に」という合い言葉のもと、街なかに本を放置し、それを偶然手にした人に読んでもらう活動「ブッククロッシング」の日本代表をつとめる。

ブッククロッシング http://bookcrossing.jp/

財 津 正 人
____________zaitsu masato

 

本のあつまる
ところ
05財津正人

  
 

当日、財津さんが話されたことの
ダイジェストです。

——いい本は誰かに読んでほしいと思うのは自然なこと

ブッククロッシング(BookCrossing)は、本を愛する人たちによる「本に世界を旅させる」活動です。読み終わった本をBookCrossing.jpに登録し、登録番号を書いたシールを貼ったら、ベンチに置いてきてもよし、カフェに忘れてきてもよし。ほかの誰かがその本を手に取り、そして手放すことを繰り返して、読み継いでいくプロジェクトです。
2001年3月にアメリカ・ボストンから発祥したブッククロッシングは、いまでは世界中に活動がひろがり、76万人の会員によって550万冊の本が旅をしています。自分がいいと思った本を、見ず知らずの誰かにも知ってほしい、読んでほしいという思いによって、ブッククロッシングはつづいてきました。

◎ブッククロッシング・ジャパン
 http://www.bookcrossing.jp

◎ブッククロッシング(英語サイト)
 http://bookcrossing.com

◎写真はブッククロッシングに登録した一冊。シールにはBCIDが書かれています。

——おもしろそうだから、ひとりで手放すことからはじめた

ブッククロッシングを財津さんが知ったのは、2006年のことでした。夢のあるプロジェクトだと思いながらも、出版業界の特効薬になるわけではないことは分かっていたそうです。それでも、「微力でも、何もやらないよりはいいだろう」という思いをもって、ひとりでリリースすることからはじめました。
ひとりで楽しみながらも、ブッククロッシングの広がりが、本をとりまく環境をかならずよくするだろうと思った財津さんは、ブッククロッシングの日本語サイトをつくることを決意します。
アメリカの本部に許可を得るという作業もそれほど大変ではなかったそうです。それは、思いもかけない本に出会うことの楽しさを伝えたいという思いと、出版人としての使命感があったからだといいます。

ブッククロッシングが広まれば広まるほど、本は売れなくなるという人が少なからずいるそうですが、そうではありません。財津さんがブッククロッシングを広めるのは、本を流通させることではなく、本を読むことの楽しさやかっこよさを知ってほしいからです。ブッククロッシングが広まれば、いろんなところで本を見かけるようになるし、手に取る機会も増える。だからブッククロッシングは「ひとつの読書への入り口」になるのです。
ブッククロッシングは、本屋に取って代わるのではなく、本と接する機会、本を読むことに興味をもつとば口となり、多くの人が本を読むようになることが目的だといいます。

——読書というものの別のところに光を当てたい

——本はどんどんどんどん旅をしていく

なかには3年という時間をかけて、香港で手放された本が、イギリスと韓国を経由して、墨田区の江戸東京博物館に着いたものもあるそうです。

——本を取りにきた人とのコミュニケーションがおもしろい

ブッククロッシングに登録した本を自由に置くことができるゾーンが、日本にも199ヶ所あります。そのゾーンは図書館とは異なり、豊富に本があつまるところではなく、選択の自由度はそれほど高くありません。
ただ、だからこそおもしろいいのだと財津さんはいいます。ゾーンにある本はたいてい自分の趣味に合うものはない。でもそのなかから一冊を持って帰ろうとするとき、居合わせた人と自然と本について話をします。
登録されている本は、いらない本ではありません。誰かが誰かに読んでほしいと思って、そっと手放したものです。さまざまな思いのつまった本と出会い、本にまつわる話をする。そういったコミュニケーションこそが、ブッククロッシングの醍醐味なのです。


◎『本が死ぬところ、暴力が生まれる』
財津さんがトーク中に紹介され、メディアセブンで手放した本。
↓のサイトにて、この本が登録されている様子がご覧いただけます。
http://bookcrossing.com/journal/6939726
いまはどこを旅しているのでしょうか…。