Days India  |  SACCO

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例えば、インド

2009/3/7(出発前に)
脳が、もうずっと、2週間くらいマヒしている気がする。
インドが、20歳の頃の私を無条件に受け入れてくれたのは、私が、何の先入観もなく、ただ純粋な憧れだけで飛び込んだからだった。5年間、ずっとインドに行きたいと言い続けて、私の中で、美化された想像上の“インド”が出来上がってしまったに違いない。今、インドに行ったら、その、美化された“インド”を追うだけになってしまいそう。恐らく、「書く」ための。

例えば、インドでセックスをしたらどうだろうかとか、飛行機では、サミュエル・ベケットの散文を読みたいとか、ガンガーを眺めながら、World's End Girlfriendを聴いたら良い言葉が浮かびそうとか、そんな「下心」はいらなくて

例えば、空気とか、インド人の汗とか、子供の笑顔とか、暑すぎる太陽とか、どろどろの地面の感触とか、祈りの声とか、そういうものを、自分が、どう感じるかだ。

なるべく頭をクリアにして、インドに飲み込まれること。
「自分探し」を意識せず、ただ「他者」に分け入ること。
「顔」「色」「におい」に注目するべきだ。今回は、旅行期間が短いので、それだけでいい。

それから、初めてインドに行く連れが、自由に感じることを私の言葉で決定してしまわないように心がけること。

例えば、ノーパンの少女

露わな姿をこちらに向けるので、ドキッとしてしまった。
彼女の将来を少しだけ想像してみる。

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例えば、路上で生活する親子

車道のすぐ脇が、彼らの家。ほこりと排気ガスにまみれて、日々、生活している。

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例えば、ターバン巻いてると思ったら
実はバンダナだったリキシャのおやじ

空港まで1時間の道のり。タクシーにしようかと思ったら「ポッシブル!」と自信満々。しかし途中でガス欠。空港に入る前に、車を止めてこの服に着替えた。実はオシャレさん。

3/7(デリー着)
18時着。警戒していた客引きが思ったより少なくて拍子抜ける。どうやらちょっと、違うルートから出てしまったらしい。
両替は、かなり待った上に、100ルピーいっぱいの札束になってしまった。「金持ちだね」とインド人にバカにされた。日本に帰ったらめっちゃ貧乏なのに…。
甘く、ぬるいにおいは変わっていない。排気ガスやほこりとともに、それを吸い込む。

次の日のヴァラナシ行きのチケットを買うため、約6キロ離れた国内線空港にタクシーで移動する。ジェットエアウェイズのカウンターで買おうとするが、どうも、ものすごい金額を請求されている。エコノミークラスだし、片道だし、と主張するが、何かおかしい。連れは、ボールペンを盗られそうになるし、すごくバカにされている感じ。キャンセルして、近くの旅行会社に行き、無事買うことができた。

あらかじめ予約してあった、ニューデリーのアジャンタホテルへ。すごくキレイなホテルだった。近くのレストランで、カレーと焼きそば的なものを食べる。美味。本当はビールが飲みたいところだけど、置いてなかったので、炭酸水で乾杯。

インドでは、「ぼったくられた」とは思わないようにしている。そもそも、値段が決まっているわけではないので、自分が払っても良いと思える金額を払う。自分にとって、どのくらい価値のあるものか。だから、すべて自己責任。

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「価値」について

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私が一番、来たかった場所。自分にとっての価値は、他人には計り知れない。例えば、どんなに綺麗な夜景よりも、今の私にとっては、これが一番。

例えば、ホテルの屋上レストランから見る
ガンガー、そしてヴァラナシの街

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例えば、部屋の天井の扇風機

かなり強力で、ちょっと寒いくらい。でも消すと暑い。

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例えば、ガンガーの上にかかる月

満月には、少しだけ足りない。

3/8(ヴァラナシ着)
夜、聖地ヴァラナシに着く。紹介してもらった、プージャーゲストハウス。ガンガーとヴァラナシの街を180°見渡せる屋上レストランがある。
5年間ずっと、「ここ」で「こう」したかった。
…「ここ」?…ガンガーが見渡せる場所で
…「こう」?………たそがれたかった。
Whatたそがれ?訳せない。訳せないどころか、説明できない。あれこれ、思索に耽ることだろうか、それとも無心になることだろうか。

ただ、ここは間違いなく、今の私が考え得る、ベストなシチュエーション。
そこに、今の私が、一番大切だと思える人といるなぁと思ったら、泣けた。
恥ずかしいので、ずっとガンガーを見ていた。

例えば、
23時になっても止まない人の声
犬の遠吠え
途絶えることのない、火葬場の煙
薪を運んでくる小船
涼しく、やや強い風
手にくっついてくる無数の虫

毎日、ただそこで、夜明けを待つということ

「待つ」ということ

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例えば、夜明け

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早起きして、ボートに乗る。
小さなオレンジ色の光だった太陽は、だんだんと力強い、黄色い光に変わっていく。