in tab  |  shalom

 

photo | shalom

身近な人の話の中には
とんでもないがいっぱいです。

photo | shalom

text | shalom

11

人の話を聞くのがあまり上手ではありません。
しゃべる方が好きだから。
でも意識的に話を聞いてみるとダイヤやサファイヤと一緒にへこんだバッチやキレイなボタンやボロ布やきったねー寄せ書きなんかがざくざくと出て来ていました。
これはなんか勿体ないなって思いました。
そんなことを考えたら勿体ないことだらけです。
そして勿体ないが溢れてくると今度は全然勿体なくなるから不思議です。
全く勿体なくない。
でも意識するとやっぱりひとつひとつがヘンテコだったり、素敵だったりします。
おかしいですね。
あれ?なんだったけ?
えっと、居酒屋でおしゃべりした話を書いてみました。
実話です〜。不純度100%です。
では、どうぞ。

事の発端は2ヶ月ほど前に偶然道ばたで前の会社の人(46歳男 Wさん)に出くわした。車から降りて来て「わあ〜久しぶり!うれしいな〜」と抱きつかれるのを拒否して握手でかわす。 今度飲みましょう〜ってことで、その日からメールのやり取りまめにするようになり、そして約束の日がやって来たのだ。

Wさんが遅くなるから先に入っててとメールが来ていたので向かっていると居酒屋の入口付近で肩を叩かれる。半個室になっている居酒屋を予約してくれていたようだ。

photo | shalom

text | shalom

photo | shalom

photo | shalom

photo | shalom

text | shalom

席につくなり話し始めるWさん。喋るが好き、そして気遣い屋。同伴者K子が何故か土産に渡したオロナミンCを「今飲んだ方いいよね」(?)と言い出し飲みだす。その時ビールがやって来る。(!)

ーじゃあ、乾杯しますか?
オロナミンCを持ち上げるWさん。
おい、間違ってるよ。あわててジョッキを持ち直す。こういうとこも変わらないなあ。Wさんはこのちょっとおとぼけなところが愛される所でもあり、からかわれる所でもあったのだった。

8

僕はそういう運命なんだなって思ったな

1杯目を飲み終わった頃に話を切り出す。
ー地下鉄サリン事件の時の話教えて欲しいんだけど。
「あー、誰かから聞いたの?Sくんかな?いやあーあれはびっくりしたけれど、でもなんかね、僕はそういう運命なんだなって思ったな」
ーっていうと?
「オウムはユーザーだったし、僕がその担当してたからさ」
*印刷機器のメンテナンスをしていて世田谷エリアを担当していたWさんはユーザーであるオウムの世田谷道場に定期的に通っていたのだった。
ー道場ではどうだったの?
「うん、丸坊主の美少女がね、よく僕に近寄って来たんですよ(うれしそう)ほら、テレビで見た事あるでしょう?あの白い衣装来てさ、誘ってくるの。説法や祈りの時間が来ると僕にも参加するように勧めて来るんですよ(うれしそう)」
ー参加したの?
「ううん(首を激しく振りながら)それはやっぱりこわくて出来なかったですよー。下向いてこう修理に集中してるフリを装ってさ、何となく耳の意識は向こうにいってたけど。やっぱりそれは出来なかったな」

ーえ、じゃあそういうユーザーという関わりが運命って思ったという事?
「いやあ、それもあるし、まあ興味もあったというか、僕結構ミーハーなんですよ(えへへ)実は渋谷道場にも行った事あるんですよ〜(えへへ)」
ーえ、仕事でですか?
「ううん、違う。ただA(当時オウム幹部)を見てみたくて!!!休みの日にちょっとだけ(えへへ)」
ー …
「だって、見てみたいでしょう?僕は見てみたかったな〜。ちょうどその時テレビでもいろいろ疑いが向けられだしてた時だったし、その時にそういう疑いを拭う為だったのか道場の一般開放みたいことしてたからね〜(しみじみ)」
ーそんな時に事件が起こったからびっくりだったでしょう?
「うん、びっくりした。あの日は月曜日で全体朝礼があったし僕もちょっと急いでいたんだよね」
「まず、電車に乗った時(丸ノ内線)にとにかくすごい臭くてね、座った隣が堀越の男子学生だったんですよ。それで、こいつらがシンナーやってんだなって思ったんだよね。で、向かいに座っていたキレイ目なお姉さんを見ていたら、口押さえながら咳こんだんだの」

text | shalom

「それで、あーコレ臭いと感じてるの僕だけじゃないんだって気付いてすぐ後ろの窓を開けたの。でも、今思えばコレがよかったんじゃないかなって思ってる。こうして生きてるわけだからね(感慨深げにカシスオレンジを飲む)でね、斜め前に座っていた男の人が居眠りしてるのかなあ、と思って見ていたらズルズルって背中から滑り落ちて床に着いた瞬間に大の字に広がったんですよ。それに続いてちょっと離れていた太めの女性がシートの横にバーンと倒れたのね。ああ、これは今大変な事が起きてるって思ったの。それで隣の車両に不自然な感じで新聞紙が敷かれているのを見てると下に透明な液体が入ってるバックが見えたんです。もっと奥見るとまた新聞紙があって液体が入った黄色いバックが見えたんです」
ー怖〜〜〜
「絶対このふたつが怪しいなって思ったの。僕の工具箱に空きがあったから最初入れちゃおうと思ったんだよね(こわ〜〜〜)でも取りあえず倒れてる人もいるし、駅に着いたから駅員さんを呼んで警察を呼ぶように言ったの」

ーなんか聞いてるとむちゃくちゃこわいんですけど。
「うん、人って怖いなって思ったね。クモの子散らすってきっとこういう事言うんだなって思ったよ。僕が駅員さんを呼んでるのに誰も倒れている人を助けようとしないの。我先にと出口から出ようとするの。人同士が重なって転んでる人もいたな」
「駆けつけてくれた駅員さんに言ったの。すぐ警察に通報するようにって。そのあとアレとアレ(透明と黄色の液体のバック:サリンが入っていたもの)が怪しいからって言ったんです。駅員さんは僕にも病院ついて来るように言ったんだけれど、時計を見ると時間ギリギリだし今走れば朝礼に間に合うと思ったから、名前を言って救護を駅員さんにまかせて走ったんです」
*Wさんは中野坂上で降車し、会社まで走ったのだそう。でもその後も電車は走っていたんですよね。恐ろしい〜

クモの子散らすってきっとこういう事言うんだなって思ったよ。

7

text | shalom

恋をしたように胸がドキドキしてね〜

text | shalom

ーそのままですか。
「うん、作業着のまま。会社に戻って着替えたかったんだけれど一刻も早く病院に行けって言われてねえ〜。病院に着いたらすごく人がいっぱいでさ〜それでワクチンっていうのかな?サリンを中和させる効果があるヤツみたいなんだけれどそれをね〜点滴されたんですよ。松本サリンの後だったからそういう対処も早かったみたい。今思えばラッキーだよね」
ーラッキーと言っても実際サリン吸っちゃってますからね。
「それで点滴終わってもまだ帰してくれないの。今度はいろんな管轄の警察から事情徴収。あの時当たり前だけれど電車は止まってるし、道路も封鎖されてたのね。ほら地下からサリンが上がってくるじゃない。だから警察署まで歩くんですよ。へんな感じだったなあ。車が走っていない青梅街道を刑事さんと並んで歩くんだもん」

「なんとか朝礼に間に合ったんだけれど、いやあ〜もう朝礼の途中からなんだかすごく目がかすむんですよ〜、あと恋をしたように胸がドキドキしてね〜」(ってなにぼんやりした事言ってんだ!)
「朝礼後にね、皆が僕にどこか行って来たの?って聞いて来るの。他の人なんかハワイにでも行って来たか?って言うんですよ」
ーえ?どういう意味ですか?
「あのね、黄疸が出てたんだよね。それが日焼けに見えたみたい」
ーどわああ〜〜〜(身体がぞわ〜と鳥肌が立つ)
「とにかく目がどんどん見えなくなるし、息も苦しくなってきたから取りあえず午前中会社の近くの個人病院に行くことにしたの。病院についたら先生が全然わからないなあ〜なんていうから、そんな事言わずに僕は苦しいんですよ〜って訴えたの(この言い方もぼんやり)今思えばラッキーなんだけれど、先生がラジオ聴きながら診察していたんです。それで東京が大変な事になってるって言って、『あなたもしかして今朝電車に乗っていたんじゃない?』って聞かれたから『はい』って答えたの。それでそのまま警察病院に引き渡されたんだよね〜」

6

text | shalom

photo | shalom

ーなんだかSFみたいですよね。何回くらい事情徴収されるんですか?
「うん、4回位だったかな。ほら言ってる事につじつまあわなくないかってことを確かめるわけだからさ、大変だよね〜警察も(あなた、優し過ぎ!)でもさ〜、刑事さんが取調中に『お腹空いたでしょう。カツ丼でも食べますか?』って聞かれた時はす〜ごくうれしかったなあ〜(あはは!)朝から何も食べてなかったからさ〜はい!って答えたかったんだけれど、ざるそば位しか食べれなかったね〜(食べてるし!)」
「僕の両親は僕が死んじゃったと思ったみたい。テレビで僕の名前が出たみたいなのね。電話したら驚かれちゃってさ、僕の方が驚きですよねー」
*この時やっと食べ物に手を出し始めるWさん。夢中に一生懸命喋っていただいてるため全然食べてない。まだまだしゃべってもらいます。
「夜何時だったかな〜結構遅くなってから会社に電話したら二人来てくれたんだけどさ〜、僕のコートやスーツをゴミ袋に入れて持ってきたんだよ。ひどいでしょう。これ持ってるだけで目がしみる〜とかまで言っちゃってさ〜」
ーその服来て帰ったんですか?
「帰らない、帰らない、作業着のまま帰った」
ーやっぱり怖くて着れないですよね。焼却ですか?
「う、うん、後々ね」(小さい声)
*憶測ですが、捨ててねえな…。

「カツ丼でも食べますか?」って聞かれた時はす〜ごくうれしかったなあ〜

5

*オウムから なんとなく宗教の話っぽくなりました。
「宗教ってさ、やっぱりそれを心の拠り所にしてる人だっているわけで、実際オウムだってみんな良い事をしてるんだ、という意識で信者はやってたわけだからね。やっぱり気付かないんだろうね」
ーそうですよねー○○なんてあれもおかしな団体ですよねー。
*とある宗教団体の事言うとなんだかWさんの雲行きが怪しくなるので、方向を○○もそれなりにいいのかもしれない。というか信じるものがある事は強いからウラヤマシイ的な方向に持って行くことにする。
「○○はそこまでおかしくないですよ。周りが言うよりはまともな団体ですよ。ホント世の中のおかしな宗教多いですから!人を騙そうっていうのが多過ぎますよ。昔ね、僕の妹が織田無道に騙されたんです。織田無道って知ってます?」
ー!!!お、織田無道ですか?知ってますよー。
「うん、もうだいぶ前だけれどね。結構テレビに出ていたでしょう?すぐ、なにかいる、とか憑いてるっていうんです。話を聞くだけでも結構なお金を取られるし、霊視っていうの?あれ見てもらうのにまた別料金、お祓いなんかするのに300万円もするって言うんですよ」

「もう、僕の妹なんか落ち込んじゃってね。だって払えないわけでしょう?救われないんだーなんて言って部屋に籠ってしまってねえ〜」
ーうわあ〜
「心がやさしいっていうか、心が弱い子だったんですよね…」
ー妹さんは今お元気なんですか?
「うん、アフリカにいる」
ーアフリカ?なんでまたそんな所へ?
「旦那の転勤。政府の仕事してるから。どこにいくにもSPが付いて来るから不自由してるみたい。危険な所みたいですよ」
ー政府の仕事?SP付き?すごいですねー。旦那さん優秀な方なんですねー。
「優秀だったらもっとヨーロッパとかアメリカとかいくんじゃないの?あんまり出来がよくないからアフリカなんでしょう」(ちょっとキビシい兄の顔を見せる)
*しばしアフリカの事情や費用や時差のことなど話されるWさん。その間に私達は唐揚げや刺身を頬張るが、Wさんは全然食べてません。笑

4

織田無道って知ってます?

text | shalom