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yukon

ひとたび漕ぎ出してしまえば、さっきまでの不安は景色と一緒にうしろに過ぎてゆく。

ホワイトホースを出発してまもなく、川は一旦大きな湖に注ぎ込み、それまで続いていた心地良いスピードと変化のある眺望は突如中断される。

川の流れによる推進力を絶たれてしまうと牛を乗せたみたいにカヌーが重くなり、閉口した。

毎日あわただしく時計に追われて翻弄されていた体が、次第に太陽のリズムを思い出す。

10

米を炊く、暖をとる、獣を遠ざけるという実利的な目的のためだけでなく、毎晩火を熾してその前に座った。

乾いた流木の焼ける匂いをちょっと吸い込んでみる。