ふいんき語りの 夜のゲーム大学 (江)  |  iida

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我が国における成人向けPCゲーム発展史
-規制と克己の25年-

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第3限「我が国における成人向けPCゲーム発展史-規制と克己の25年-」
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講師:江戸栖方・・・・・・サブカルチャー評論家
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(壇上に年代物のPCソフトのパッケージの現物がうずたかく積まれ、会場がざわついている。それらのブツの中にはカセットテープ、5インチフロッピーディスクといった、いにしえの記録媒体も散見される)

 黙殺、忘却される運命にあるが、実はこうしたもの達が発する声なき声の中に真実というものがあるのではないでしょうか? というか、ぜんぜんありますよ。本日は、けして歴史の表舞台に登場することはないだろうけれども、しかし、確実に巨大な山脈を形成してきたある種のゲーム群の進化史を解説していきます。題して「我が国における成人向けPCゲーム発展史-規制と克己の25年-」。私、江戸栖方がお送りします。よろしくお願いします。

(場内拍手)

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摘発と認知

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コンテンツが始まったのです。簡単に言うと、PCの中に存在する可愛いらしいアニメ顔の女の子と遊びたいという欲望です。

 そうした初期衝動によって作られた黎明期の成人向けゲームは無法地帯でした。『ナイトライフ』『電脳学園』『バトルスキンパニック』『東京ナンパストリート』といった作品がこの時期の代表作です。

 当時の成人向けゲームは、少数の好事家たちの密かな楽しみだったわけですが、鬼畜系の先駆ともいえる『177』という作品が国会で問題として取り上げられました。それをきっかけに成人向けゲームの存在が一般に認知され、皮肉なことに市場の拡大に貢献した。90年代に入ると成人向けPCゲームは飛躍的にシェアを拡大します。警視庁による成人向けPCゲーム

 PCゲームの黎明期の特徴として、プレイヤーと制作者の距離が非常に近かいということがありました。親におねだりしてPCを買ってもらったけれど、遊びたいゲームは自分でプログラムするしかない。で、プログラムを覚えた。そんな小学校5年生がたくさんいたのです。

 彼らは世代的に第一次アニメブームの影響下にあったため、アメリカ産のワイヤーなどで描かれた無骨なRPGを遊んでだろことで、いまひとつ心が躍らない。僕たちは大好きなアニメの世界で遊びたいんだ! そんな一心で、彼らはプログラム技術を磨いていったわけです。

 早くもこの時点でRPGなどのゲーム性と美麗なアニメの世界の融合の試みが開始され、欧米とはまったく異なるスタイル、日本型ゲーム

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の摘発などもありました。そうしたことから自主規制が制度化されたり、あるいは作り手が同人へと活動のフィールドを移し、より先鋭化するといったことが起きます。

 一方で、同時期にコンシューマゲーム機の世界でも動きがありました。『ときめきメモリアル』の大ヒットです。続いて『センチメンタル・グラフィティ』もヒットし恋愛ADVゲーム、あるいはギャルゲー。こうしたジャンルが確立されます。

 ギャルゲーと地下に潜った成人向けゲームには共通の傾向が現れてきます。キャラクターへの愛着の比重が高くなり、結果的にゲーム部分が小さくなっていくというものです。これは比較的最近の作品ですが『ひぐらしのなく頃に』に至っては、とうとうユーザーの介入、選択肢

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性表現の自由、性癖の追求

が消滅してします。
 ゲーム部分が小さくなると、実際の作業は、シナリオライティングと可愛い女の子を描くことになります。フリーのスクリプトが配布されたことなどが後押しとなって、成人向けゲームへの参入障壁がぐっと低くなります。結果的にこの場所に多くの非凡な才能が集まってくる。竜騎士07や奈須きのこなど同人、メジャーの垣根を越えて活躍する作家も現れるようになっています。かつてポルノ映画が将来の映画業界を支える人材を排出したことと同じです。

 また、成人向けということで各々の性嗜好を究極的に追求するあまり、もはやポルノの範疇を超え、アートとしか言いようのない突き抜けた表現も多くみられるようになっています。触手ジャンルなどはその宝庫です。

れた25年の歴史の厚みがあるのです。こうした背景を抜きにして、この芳醇な世界を堪能することは出来ません。逆説的に言うと、成人ゲームを学ぶということは日本の実像を知るということになるのです。これは、われわれ日本人にしか分析出来ないことなのです。

 そして2番目。近年のコンテンツ制作の問題点として、予算の高騰、制作委員会主体の方式、権利関係の混濁といった問題があります。ゲームに関して言うと、投下資本が増大することで、リスクが高くなり、売れ筋以外は狙えないという状態にあります。結果的に家庭用ゲーム機の世界からはアートは生まれません。しかし、成人向けゲームは、少人数で制作出来るため、作家の個性を貫徹させることが可能です。つまりは、成人向けゲームは日本型アートのコンテンツ発生装置たりえるのです。

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成人向けゲームの意義

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(スライドで、ある触手ゲームの画像を表示、あまりのインパクトに観客は静まりかえる)

 それでは、まとめとして、成人向けゲームを学ぶことの意義を考えてみましょう。成人向けゲームを学ぶことのの意義、その1。成人向けゲームを理解することは日本文化を理解するということ。

 80年代以降、日本製コンテンツは外国人に評価されてきました。21世紀には欧米を中心に”COOL JAPAN”と最大限の讃辞を受けています。彼らは日本のアニメ、コミック、ゲームに価値を見出しているのですが、しかし、そこに成人向けゲームは含まれていません。社交的な彼らにとって、PCゲームの女の子に熱中するという感覚はどうしても理解出来ないのでしょう。成人向けゲームには規制と克己が繰り返さ

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 最後に成人向けゲームをプレイすることの意義です。
(スライドに大きく「?」を表示)

 それは・・・・・・。わ、か、ら、な、い。
(大爆笑)

 わからないから、やるんです! 以上です。どうもありがとうございました。
(場内拍手)

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わ、か、ら、な、い

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  • 著者:iida
  • 著者:江戸栖方
作 成 日:2008 年 07月 18日
発   行:iida
BSBN 1-01-00015548
ブックフォーマット:#321

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