#0802:パイプ制作記  |  GOIGOI

 
#0802:パイプ制作記

 
 

 時々、パイプを作ってます。人に知られずひっそりと、隠れ切支丹のように作ってます。
 少し突っ込んで一つコトに打ち込むと、周囲の人からは変な人扱いされます。そんな後ろめたさを持ちつつも6~7年ほど手がけてくることができ、いつの間にかこんなものを作れるようになりました。
 パイプを作る他の人からも「変なの作ってるなぁ」と言われることしばしば。でも、実際には皆が変なのを作ってます。知ってか知らずか。
 そんな「変な」パイプの制作記です。

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はじめに

 
 手持ちのヤスリでゴリゴリと、紙ヤスリでシャリシャリと、平日の夜、休日の日中、少しずつ進めてゆきます。

 「考えるより速く作業する道具」は極力避けます。想像以上の速さで作業できてしまう一部の電動工具が取りこぼしてしまうものを、金魚すくいのようにひょいひょいと掬い取ってゆくような作業です。

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 今回は作る形があらかじめ決まっているので、ブライヤーに鉛筆でささっとデッサンしただけ。

 
切り出す

 いらない肉をバンドソーで切り出したところです。
 「はじめに」で「考えるより速く作業する道具は~」と言った割りには一気に切ってます。まあこの後どうなるかわからないのですから、保険となる肉を残した上でザックリと切り出します。
 幸いキズは出ていませんが、この段階では仮にキズが出たとしても気にもなりません。逆に、出ていないからといって中までキズ無しとも言えません。モリモリいきましょう。

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 とある作家さんから聞いた話では、こういった穴のあけ方をするのは日本のパイプ作家だけだそうです。海外の作家さんがこのやり方を見てたまげていたそうな。

 予定通りの位置まで煙道をあけて念のため深さを確認したら、次は火皿の番です。

 左手にブライヤー、右手にドリルを持ってフリーハンドで火皿をあけてゆきます。
 煙道は必ずしも端面のど真ん中にあけるとは限りません。このケースではこの後に端面をさらに切り落とすのですから、内部では中央に寄ってくるというわけです。

 
煙道・火皿を開ける

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ダボ穴をあける準備

 マウスピース接合部となるダボ穴をあける準備をします。端面を平らにしておき、ドリルが垂直におりるよう調整してゆきます。

 1.5mmのドリルをくわえさせていますが、これはドリルとブライヤーの角度を調整するためのものであり、実際にあける時には使いません。

 

 少しずれるとびっくりするくらい斜めにドリルが入ってしまうので、方向を定めておきます。前方と側面から確かめておけば問題ないでしょう。
 ボール盤の水平が完全に出ている状態でしたら、水準器を乗せるだけです。もっとも、それでも微調整はしなければなりませんが。

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 今回は斜めに飾り材を入れるつもりなので、少し余裕を持って深くあけます。16mmくらいだったかな?
 ドリルの太さは11mm。ストレートではなく、チャックにくわえさせる部分が細くなっているタイプです。あまり太いとチャックに入りません。全長は短ければ短いほど左右へのブレが少なくなります。
 内部の煙道と中央ドンピシャで合わせるのが理想です。

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ダボ穴をあける

 

 ブレを少なくするには、前もって旋盤で使用するセンタードリルで揉んでおくとガイドになります。

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両脇を削ぐ

 狙ったところにダボ穴をあけることができたら、少しずつ整形作業に入ります。
 まずは一番細くなる部分、ダボ穴付近の肉をそぎ落とします。
 ここまでの作業、端面の荒削り(その後紙やすり)以外では鑢をつかっていません。

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 まだまだ目標とする形をここから想像するのは難しい段階。
 あまり同じ形を作らないようにしているので、何年作っていても初めての形がほとんどです。「これ、ホントにパイプになるんだろか?」という気分で作っています。

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斜め継ぎの準備

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 飾り材を斜めに継ぐため、ダボ部分を思い切りよく切断します。油断するとずれてしまい、その後の調整の手間が増えるので慎重に。

 斜めに切り落とす時の細い側(写真では火皿があいている側)は少しでも本体部分にかかった状態で切り始めるほうが吉。端面側から刃を入れると、新たな端面が狭くなり、その後飾り材の太さを決めるときに選択肢が減ります。再度広げようと端面を平らに削るのはかなりの手間です。

 

 いつになっても「これでいいんだよな、うん。いいんだよな」と自省することになる作業の一つ。切り落としたからには後戻りできません。
 夜間の電灯による撮影のため、ホワイトバランスが前の写真と違います。ご了承ください。

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 ここからが本格的なヤスリがけの段階となります。気合いと根性で形を作ってゆきます。
 先ほどまでの写真とは違い、少しずつですが滑らかなカーブが出てきました。
 端面は紙やすりをかけ、平らにしておきます。この際、平らな面に置いた紙やすりに手で持ったブライヤーをあてるというかけかたです。

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ヤスリがけに入る

 

 やはり夜間のため少し黄色みがかかってしまいました。この段階で製作開始から6日が経過しています。一日に2~3時間、どこを削ろうかと手順を考えながら少しずつ削ってゆくのが一番合っていますね。初めての形状だと段取りを考える時間を多く取らないと失敗します。

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