FANCY  |  kikuch

半紙のパッケージが好きだ。
限りある色数の中で繰り広げられるドラマティックな構成と、叙情詩といっても過言ではない商品名。文具店や本屋の片隅でひっそりと奏でられる、白いキャンバスに踊る文字やイラストのグルーヴ、それが半紙パッケージの魅力なのだ。
ここでは私が思わず「ジャケ買い」してしまった「半紙ジャケ」(通称:紙ジャケ)の世界に魅了されていただきたいと思う。

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はじめに

「孔雀」

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手始めという訳ではないが、紙ジャケに魅了されたい方へ王道的なものから紹介していく。
どうだ、「孔雀」だ。「あのぅ孔雀ですが」と言われた日には、筆を墨汁に落とす前に良い一筆が書けたような気になるじゃないか。
高級=孔雀というベタな感覚。
この「ちょっぴり大げさ感」も魅力のひとつで、紙ジャケ初心者にもスタンダードに味わえる一品。
“墨付きがよくて書きよい”というユニバーサルなコピーもばっちりハマっている。

「星祭」

文字のみで勝負しているパターンも多々ある。
この「星祭」もその1つで、この素人から見ても「中よりは上」と思わせる微妙な達筆感も良い紙ジャケの魅力だ。
なにせ「星祭」である。「スターフェス」である。だからどうしたんだというツッコミがあるだろうが、感覚的に味わおう。頼むよ。
ジャケ下部にうっすらと青くひかれているのは不気味な和紙パターンだが、これまたボディブローのように効いてくる。

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「白富士半紙」

“大げさ”の代名詞、富士山の登場だ。もう何も言うまい。
加筆するなら、相撲に興味がないのに「どすこいクン」「はっけよいサン」とあだ名がつけられてしまうデブのガキのような「何もしてないのに、パンチのある佇まい」。この天然インパクトっぷりをこの紙ジャケで堪能しよう。
「3人くらいで書いてない!?」なタイトルのジャンクな組み方や、アヴァンギャルドなブルーのイラストが、あまたのストリートアートに一石を投じている。

「墨友半紙」は紙ジャケ鑑賞の視点から見ると反則系。
だって普通にキレイで高級ぽいんだもんなぁ、これ。こうじゃないのだ、真の紙ジャケは。

本当の自分を見せようぜ!もっと笑ってよ!呑みに行こうぜ!2次会どうする?笑顔で生きんしゃい…など余計な心配までしてしまう。

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「墨友半紙」

売れ残ったタトゥーシールみたいなイラストがただただ嬉しい「玉獅子」。
これもまた「無駄な大げさ感」の基本を守りきっている一品だが、○内に「うぃす!」って感じで書かれたような「天」の佇まいと、獅子を覆う“白くくり”に胸が熱くなるのは私だけか。

マンガの最終回の扉ページだったら残るだろうなぁ、これ。

「玉獅子」

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「わかたけ」

ジャケ左上が折れてるグラフィックに思わず「可愛い!」と叫んじゃったじゃん。
これだけホワイトスペースを贅沢に味わえる半紙も、ありそうで無かった。半紙界のディックブルーナだ。オンサンデーなんかに置いてあったら間違って売れるんじゃないだろうか。
「20枚入」の文字上に大胆に貼付けた「百枚入り」の訂正シールがさらに可愛さフルスロットル。

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前述の「わかたけ」よろしく、赤と黒を用いたベーシックなフォーマットだが、「わかたけ」を堪能した後だと“やりすぎた”感も…。バンドに例えると3rdアルバムで売れまくった後の4枚目みたいな感じ。わかんねぇって。
「つみ草」という一見普通の単語なのに、実は意味よく知らねぇみたいな、後ろ髪を引かれるような感覚をここでは味わいたい。

「つみ草半紙」